日経平均の予想: July 2017

Monday, July 31, 2017

[2017/07/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
28日のNYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。31日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付くと、午前中は10円高から60円安の間でもみ合い、午後は10円高から50円安の間でもみあって、結局10円安で取引を終えました。日経平均の終値は34円安の19925で、出来高は19.64億株と比較的高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は1040万株の売り越しでした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利な状況です。

28日の米国市場では、朝方こそアマゾンなどハイテク株が売られ、NYDowも安く推移する場面がありましたが、四半期決算が好調だったシェブロンなどが買われたことを受け、相場は持ち直しました。
31日の日本市場では、先週末の米ハイテク株安や円高を受けて売りが先行しました。ほどなくプラス圏に戻しましたが、その後は企業業績を受けて買われる銘柄と売られる銘柄とが分かれ、日経平均はもみあいました。北朝鮮情勢や円高への警戒感も重荷となりました。

 [テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。総合乖離率は+4.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+4.5%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の中にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)+5.4ポイントで、中長期的には日本市場が1080円ほど割安となっています(前日比0.1ポイント拡大)。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、今年6月に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ2.54ポイント(日経平均で11310円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の4-6月期のGDP速報値2.6%となり、市場予想の2.6%増に一致しました。2-6月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、6月の耐久財受注、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のISM非製造業景況指数、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数、は市場予想を上回り、6月の鉱工業生産は予想と一致しましたが、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月のNY連銀製造業景気指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、5月の製造業受注は予想を下回りました。65負で景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

6月の雇用統計は就業者数が前月比22.2万人増で、市場予測の17.9万人増を上回り、失業率は先月の4.3%から4.4%に上昇しました。景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

一方、住宅関連では、6月の住宅着工件数は予想を上回りましたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想以下でした。また、5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.7%で、市場予想の+5.8%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくいという面では強気材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復傾向ですが、長期金利は上昇傾向に変わる気配はまだ顕著ではありません。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0726 1.3138 0727 1.3111 0728 1.3105 となっています。20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、約一年間上昇が続いています。ここ5年の最高金利は2017072日の1.3166%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.3PBR1.28となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、3か月前より1.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+8.7%で、3か月前より3.0ポイント改善しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%となり、日経平均の割安幅は130円から70円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円 から+60円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドルベースでは弱い動きとなっていますが、今日は弱い動きが減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタル面ではかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.23ポイントから2.21ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。直近の米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面では、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。ただ、目先の長期金利は低下傾向が続いています。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

このような相場環境の中、31日の米国市場では、7月のシカゴ購買部協会景気指数や、6月の中古住宅販売仮契約などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを170円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線 (現在20070円近辺)、下値がボリンジャーバンド-3σ(現在19820円近辺)と想定されます。



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Saturday, July 29, 2017

[2017/07/30]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、四半期決算が好調な銘柄が多く、買いが優勢でした。一方、中長期的には、ドイツ銀行始め欧州の銀行の信用力不足と信用収縮懸念、FRBの利上げ、中国など新興国の景気減速、原油相場低迷などによる世界経済の減速懸念や、中東やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2018年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が2.54ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.3との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2018年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに2.6%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER22.4程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が31320円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は11360円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2018GDP予測値(現在+0.98%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のISM製造業景況指数、7月の雇用統計が注目されそうです。NYDowが史上最高値を更新し続けるかに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は1-3月期の決算発表に伴い、ROE予想値は9.0%3ヶ月前に比べて1.1ポイント改善しています。また、今期業績予想の伸び率は+8.7%3ヶ月前に比べて2.1ポイント改善しています。
   米国の長期金利は低下して、日米の金利差は2.18から2.22%と拡大したものの、為替は112円台から110円台で円高方向の動きでした。今週は111円台から109円台が想定されます。
   OECDの日米の2018年の実質GDP伸び率は改定されて、日本が+1.0%で、米国は+2.4%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.4ポイント劣ります。
   73週は買い越しで、74週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち②が強気材料で、③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に5.1ポイント(日経平均に勘算すると1020円程度)割安となっています。先週比割安幅が0.4ポイント拡大しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。総合乖離率は+5.4%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+4.8%となりプラス幅は縮小しました。3つの要素がプラスですので中期トレンドは、"黄信号"が点灯しています。
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期的トレンドは"赤信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。
短期的には黄信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米企業業績の伸び悩み、米国の景気減速、原油相場の低迷、ハイイールド債市場の下落、英国のEU離脱に伴う金融市場混乱、世界的な長期金利低下傾向、などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、中国など新興国の景気減速に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利がここ5年来の高値を更新し続けており金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国の緩やかな利上げペースの可能性、トランプ新大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによる政策金利はマイナス金利と国債買い入れが維持されています。ただ、国債買い入れ枠は20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額されていますEUも金融正常化へ向かう方向です。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。日本市場は中期はもみ合いで、短期は下降トレンドです。

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は上昇し、日米長期金利差は拡がったものの、為替は週間では円高方向の動きとなりました。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、ほぼ想定レンジ通りの動きでした。上値は想定ライン近辺で、あと60円まで接近し、下値も想定ライン近辺で、40円ほど下回る程度でした。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在20230円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-3σ(現在19840円近辺)の間での動き想定されます


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Friday, July 28, 2017

[2017/07/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
27日のNYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。28日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付くと、午前中は20円安から100円安と下げ幅を拡げ、午後は70円安から140円安と下げ幅を拡げて、結局100円安で取引を終えました。日経平均の終値は119円安の19959で、出来高は17.63億株と比較的高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は1090万株の売り越しでした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。

27日の米国市場では、四半期決算が好調だったベライゾンやP&Gが買われ、NYDowを押し上げました。一方、アップルやアルファベット、マイクロソフトなどに利益確定売りが広がり、NASDAQは下落しました。
28日の日本市場では、前日の米国市場でのハイテク株安や、為替市場での円高進行が投資家心理を冷やし、売りが優勢となりました。午後にはアジア株安も嫌気され、日経平均はさらに下げ幅を拡げました。

 [テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線を下回り、短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は+5.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+4.8%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の中に入りました。3つの要素のうちプラスは2つとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)+5.3ポイントで、中長期的には日本市場が1060円ほど割安となっています(前日比0.1ポイント縮小)。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、今年6月に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ2.53ポイント(日経平均で11330円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の1-3月期のGDP確定値1.4%となり、改定値の1.2%増から上方修正されました。1-3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、6月の耐久財受注、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のISM非製造業景況指数、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数、は市場予想を上回り、6月の鉱工業生産は予想と一致しましたが、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月のNY連銀製造業景気指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、5月の製造業受注は予想を下回りました。65負で景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

6月の雇用統計は就業者数が前月比22.2万人増で、市場予測の17.9万人増を上回り、失業率は先月の4.3%から4.4%に上昇しました。景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

一方、住宅関連では、6月の住宅着工件数は予想を上回りましたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想以下でした。また、5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.7%で、市場予想の+5.8%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくいという面では強気材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復傾向ですが、長期金利は上昇傾向に変わる気配はまだ顕著ではありません。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0724 1.3138 0725 1.3166 0726 1.3138 となっています。20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、約一年間上昇が続いています。ここ5年の最高金利は2017072日の1.3166%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.3PBR1.28となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、3か月前より1.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+8.5%で、3か月前より2.1ポイント改善しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は30円の割高から130円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円 から+60円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドルベースでは強い動きに戻っていましたが、今日は弱い動きに変わりました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタル面ではかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.22ポイントから2.23ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は横ばいでした。直近の米国の長期金利は上昇し、円安圧力が強まりました。

テクニカル面では、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。ただ、目先の長期金利は低下傾向が続いています。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

このような相場環境の中、28日の米国市場では、4月~6月期のGDP速報値や、メルク、エクソンモービル、シェブロン、グッドイヤーなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲をやや下ぶれしました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ (現在20150円近辺)、下値がボリンジャーバンド-3σ(現在19840円近辺)と想定されます。



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