[市況]
1月27日、NYDowとNADSAQは上昇しました。1月30日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付くと、午前中は50円安から100円高の間でもみあい、午後は70円高から50円安の間でもみあって、結局、10円高で取引を終了しました。日経平均の終値は50円高の27433円で、出来高は11.31億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
また、空売り比率は5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。
1月27日の米国市場では、12月の個人消費支出(PCE)のコア指数が市場予想と一致し、前月比で上昇率が鈍ったことから、FRBが利上げペースを緩めるとの観測が強まり、買いが優勢となりました。また、アメリカン・エキスプレスなど好決算を発表した銘柄の上昇も支えとなりました。ただ、引けにかけては利益確定の売りが優勢となり、指数は伸び悩みました。結局、NYDowは小幅に6日続伸し、NASDAQも続伸しました。
1月30日の日本市場では、前週末の米株高や連休明けの上海株高が投資家心理を支え、景気敏感株の一角などに買いが入りました。一方で、短期的な過熱感を意識した戻り売りも出て、相場の上値を抑えました。外国為替市場で円相場が円高ドル安に振れたことも、輸出関連株の重石となりました。日経平均は小幅に続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+5.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+0.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上に出ました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.9ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が250円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-4.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1210円ほど割安であることを示しています。
日経VIは16.92と低下し、VIXも18.51と低下しました。両指数とも20を下回っており、不安心理は解消されています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さはやや縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-7.3、米国-2.0と日本が5.3ポイント割安ですが、OECDの2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.27ポイント(日経平均換算で33730円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は前期比年率2.9%増で、市場予想の2.8%増を上回りました。一方、10~12月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の耐久財受注、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標6勝6負で、景気・金利の両面で中立材料です。
米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.1万人増で、市場予想の20.5万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の中古住宅販売仮契約指数、1月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、12月の新築住宅販売件数数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+8.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立材料です。
新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは2023年5月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を2023年3月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持していますが、22年12月に長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、1月25日 4.8145% → 1月26日 4.8024% → 1月27日 4.8252%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年1月12日に記録した4.8297%がここ5年間の最高金利です。市場金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.92、PBRが1.15となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+5.4%で、こちらは3か月前より1.3ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.4%となり、日経平均の割高幅は860円から890円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+860円から+1220円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.06ポイントから3.03ポイントに縮小しました。ドル円相場は方向感なく推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。
ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています。
1月30日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを230円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在27630円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在27010円近辺)が下値の目安になりそうです。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。日経VIとVIXは20を下回っており、不安心理はない状態です。日経平均は続伸しましたが、勢いはありません。2月1日に予定されているFOMCの結果公表までは、弱含みの展開となりそうです。
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