[市況]
5月19日、NYDowとNASDAQは小幅上昇しました。5月20日の日経平均先物は、前日比270円高で寄り付くと、午前中は270円高から550円高の間で上下し、午後は320円高から80円高と上昇幅を縮めて、結局、140円高で取引を終えました。日経平均の終値は30円高の37529円で、出来高は19.24億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。
5月19日の米国市場では、米国債の格下げと長期金利の上昇を背景に売りが先行しましたが、長期金利の上昇が一服すると主力株に押し目買いが入り、相場を押し上げました。また、15日までの8日続落のあと反発したユナイテッドヘルス・グループが前週末に続いて買われ、指数を支えました。結局、NYDowは3日続伸し、NASDAQも小幅に続伸しました。
5月20日の日本市場では、前日の米株式相場が上昇した流れが引き継がれ、半導体や自動車をはじめとした幅広い銘柄に買いが先行しました。ただ、買い一巡後は利益確定の売りや戻り待ちの売りが強まり、指数の上値を抑えました。近く行われる予定の日米財務相会談で為替が議題になると伝わり、警戒感から様子見ムードが強まった面もありました。結局、日経平均の反発は小幅にとどまりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+5.0%と前日比横ばいで、200日線との乖離率は-0.8%とマイナス幅をやや縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-5.0ポイントとマイナス幅をやや縮め、日経平均が1880円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-1.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が680円ほど割安であることを示しています。
日経VIは24.31と前日より上昇し、VIXも18.14と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.1と日本が4.9ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.84ポイント(日経平均換算で54000円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の住宅着工件数、4月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.35、PBRが1.40となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は-2.2%で、こちらは3か月前より7.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.1%となり、日経平均の割安幅は970円から770円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-970円~-90円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.04ポイントから2.95ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。
5月20日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。キーサイト・テクノロジーズやパロアルト・ネットワークスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、貿易をめぐる米政権の動向や、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを300円ほど下回り、下値は想定ラインを350円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在37810円近辺)が上値の目安に、25日線+1000円(現在36990円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は小幅に反発しましたが、日足は陰線となり、ボリンジャーバンド+1σにタッチしました。上昇トレンドが維持されるかどうかは微妙な形となりました。
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