[市況]
5月26日、米国市場は休場で、取引はありませんでした。5月27日の日経平均先物は、前日比50円安で寄り付くと、午前中は30円安から180円安の間でもみあい、午後は140円安から230円高と上昇に転じて、結局、230円高で取引を終えました。日経平均の終値は192円高の37724円で、出来高は13.31億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
5月26日の米国はメモリアルデーの祝日で、株式市場は休場でした。
5月27日の日本市場では、前日に上昇の目立った半導体関連株に売りが出て、指数を押し下げました。日銀の植田総裁が日銀金融研究所主催のイベントで利上げに言及し、円相場が円高ドル安に振れたことも重石となりました。しかし午後、「財務省が来月、国債市場特別参加者会合を開く」と報じられると、超長期債発行計画が修正されるとの観測から長期金利の低下と円相場の下落が進み、歩調を合わせるように株価指数先物に買いが強まりました。結局、日経平均は3日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+5.1%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は-0.2%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、25日線の上にありますが、9日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.6ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が600円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.8ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が680円ほど割高であることを示しています。
日経VIは23.61と前日より低下し、VIXも20.57と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.1と日本が4.9ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.82ポイント(日経平均換算で55260円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.54、PBRが1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.3%で、こちらは3か月前より6.6ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
前日の米国市場は休場でしたが、きょうの日経平均は上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.2%となり、日経平均の割高幅770円から810円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-770円~+810円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.01ポイントから3.01ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
5月27日の米国市場では、4月の耐久財受注、3月の住宅価格指数、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、オートゾーンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを190円ほど下回り、下値は想定ラインを360円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在38060円近辺)が上値の目安に、25日線+500円(現在37160円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は3日続伸しました。引き続き、ボリンジャーバンド+2σ(現在39055円)を目指す動きが期待できそうです。
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