[市況]
5月7日、NYDowとNASDAQは上昇しました。5月8日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付くと、午前中は80円安まで下落したのち300円高まで上昇幅を拡げ、午後は210円高から360円高の間でもみあって、結局、360円高で取引を終えました。日経平均の終値は148円高の36928円で、出来高は19.11億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
5月7日の米国市場では、米中が週内にも貿易問題をめぐる閣僚級の協議に入ると伝わり、両国間の緊張が緩和されるとの期待から、主力株に買いが入りました。また、FRBがFOMCで政策金利を据え置いたことは無難と受け止められ、一定の買い安心感につながりました。結局、NYDowとNASDAQは3営業日ぶりに反発しました。
5月8日の日本市場では、米中関係改善への期待から前日の米株式相場が上昇した流れが引き継がれ、半導体関連株を中心に買いが先行しました。朝高後は利益確定の売りが優勢となりましたが、売りが一巡すると海外短期筋による株価指数先物への買いが相場を押し上げました。ただ、節目の3万7000円が意識され、午後は一進一退の展開となりました。日経平均は反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+3.1%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は-2.7%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち1つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が260円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+0.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が40円ほど割高であることを示しています。
日経VIは28.05と前日より低下し、VIXも23.55と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.4、米国-0.4と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.86ポイント(日経平均換算で50000円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、3月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.91、PBRが1.37となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+5.1%で、こちらは3か月前より2.7ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.0%となり、日経平均の割高幅は1310円から1050円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1010円~+1320円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.04ポイントから2.99ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
5月7日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数のほか、ショッピファイなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、トランプ政権の動きや長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを520円ほど下回り、下値は想定ラインを250円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-400円(現在37200円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在36460円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、やや強まりました。きょうの日経平均は反発しました。引き続き、ボリンジャーバンド+2σ(現在37596円)に到達できるか、あるいは跳ね返されるかが、目先の注目点です。
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