日経平均の予想: [2021/11/01]今後の日経平均の見通し

Sunday, October 31, 2021

[2021/11/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

1029日、NYDowNASDAQは上昇しました。111日の日経平均先物は、前日比630円高で寄り付くと、午前中は610円高から870円高の間で上下し、午後は720円高から890円高と上昇幅を拡げて、結局770円高で取引を終えました。日経平均の終値は754円高の29647円で、出来高は12.86億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

 

1029日の米国市場では、シェブロンやエクソン・モービル、メルクやマイクロソフトなど、好決算を発表した銘柄が買われ、相場を押し上げました。一方、決算発表で売上高が市場予想を下回ったアマゾンやアップルは売られました。S&P500種構成企業の約半数が四半期決算を発表しましたが、そのうち80%以上がウォール街のアナリストによる業績予想を上回っており、相場の先高観につながっています。主要3指数はそろって最高値を更新しました。

111日の日本市場では、衆院選の結果、自民党が国会の安定運営に必要な議席を確保したことから、政治の先行き不透明感が後退し、景気敏感株を中心とした幅広い銘柄に買いが優勢となりました。前日の米株式市場で主要な株価指数がそろって上昇したことも好感されました。日経平均は大幅に続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+9.5%と前週末よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+2.7%と前週末よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上に抜けました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末より2.2ポイント縮小して-6.6となり、中長期的には日経平均が1960円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が3.0ポイント(日経平均換算で890円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.8、米国-2.9と日本が3.9ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.63ポイント(日経平均換算で2980円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP速報値は前期比年率2.0%増で、46月期GDP6.7%増から大きく後退しました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

9月の耐久財受注、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の小売売上高、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、8月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を強めるという面ではやや弱気材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.4万人増で、市場予想の50万人増を下回りました。一方、失業率は4.8%で、先月の5.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測が後退するという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数、10月の住宅市場指数は予想を上回りました。また、8月の中古住宅販売件数は市場予想と一致しました。一方、9月の中古住宅販売仮契約指数、9月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面から見て中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ただ、11月のFOMCでテーパリング実施を決定するようです。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、1027 0.1286 1028 0.1316 1029 0.1322と小動きですが、やや上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.5PBR1.32なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+32.8%で、こちらは3か月前より3.1ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均の割安幅は900円から240円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1060円から-240円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.51ポイントから1.47ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、20219月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している債券購入の減額を決定しました。今後3か月間のペースを、これまでの2四半期より適度に低くするとしています。

 

111日の米国市場では、10月のISM製造業景況指数のほか、ロウズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格やビットコイン、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを380円ほど上回り、下値は想定ラインを700円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在30020円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在29390円近辺)が下値の目安になりそうです。



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