日経平均の予想: [2021/10/17]今週の日経平均の見通し

Saturday, October 16, 2021

[2021/10/17]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、主要企業の四半期決算で好調な業績報告が相次いだことや、良好な経済指標が好感されて、株価指数は上昇しました。

一方、中長期的には、過剰流動の副作用によるインフレ懸念、ファンドなどのディフォルトによる銀行の信用力不足と信用収縮懸念があります。また、中国の不動産バブル崩壊懸念と景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念もあります。さらに、東アジア、中東、ウクライナの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2022年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.67ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER21.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.2との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.67ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.7程度になるか、又は、日経平均が32120円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は3050円ほど割安です。

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大と一段の円安

OECDによる日本の2022GDP予測値(現在+2.72%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

最近の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足も陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。NYDowが一目均衡表の雲の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.2%となりました。3ヶ月前に比べて0.3%ポイント改善しています。また、利益伸び率は+33.1%3ヶ月前に比べて5.3ポイント改善しています。

  米国の長期金利が低下して、日米間の金利差は1.53から1.50と縮小したものの、ドル円は112円から114円の範囲で円安方向に動きました。

  OECDの日米の2022年の名目GDP伸び率予測が改定されて、日本が+2.72%で、米国は+6.01%と予想されていますので、この面では日本市場の方が3.29ポイント劣ります。

  10月第1週は買い越しで、10月第2週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①と③と⑤が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に4.7ポイント(日経平均に勘算すると1370円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に3.8ポイント(日経平均に勘算する1100円程度)割安です。

新政権への失望感は少し和らぎ、前週と比べ日本市場の売られ過ぎは、多少改善したようです。

 

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+2.2%となり先週と比較してプラスに転換しました。200日移動平均線との乖離率は+1.1%で、プラスに転換しました。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。

日経平均は、25日線の下にありますが、9日線上にあります。短期トレンドは、"黄信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、200日線・25日線・9日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqも、200日線・25日線・9日線の上にあります。一目均衡表の雲の中に在ります。

短期的には青信号で、中期的には黄信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は低下傾向ですが、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては米国のゼロ金利政策と債券購入を含むFRBによる企業への直接的金融支援や2兆ドルの経済対策。日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と無制限の国債や0から12兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、日本政府によるリーマンショック時を超える経済対策やEUによる92兆円のコロナ復興基金設立とECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の継続などが揚げられます。ただ、ECB債券購入の減額を決めています。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安方向に反転しています。今週は113円台から115円台が想定されます。

 

今週は、第3四半期の決算シーズンが続き、IBMNetflixTeslaIntelJohnson & JohnsonP&Gなどの企業が決算を発表します。その他、米国、英国、ユーロ圏、日本、オーストラリアのPMI速報値が注目されるほか、中国の中央銀行が金融政策を決定します。その他の重要なデータとしては、米国の鉱工業生産と住宅データ、英国のインフレ率と小売業、ユーロ圏の消費者信頼感、中国の第3四半期GDP、日本の貿易収支とインフレ率などがあります。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを230円ほど下回り、下値は想定ラインを320円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド +1σ(現在30330円近辺)で、下値がボリンジャーバンド -1σ(現在28290円近辺)の間での動きが想定されます。


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