日経平均の予想: [2022/08/12]今後の日経平均の見通し

Friday, August 12, 2022

[2022/08/12]今後の日経平均の見通し

[市況]

811日、NYDowは小幅上昇し、NASDAQは下落しました。812日の日経平均先物は、前日比330円高で寄付くと、午前中は320円高から720円高と上昇幅を拡げ、午後は660円高から750円高の間でもみあって、結局、750円高で取引を終了しました。日経平均の終値は727円高の28546円で、出来高は14.58億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は、5日平均を3営業日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強い状態です。

 

811日の米国市場では、7月の卸売物価指数が前月比で下落したことを受け、FRBが利上げを急ぐとの観測が後退し、消費関連株や景気敏感株に買いが向かいました。資源高も追い風となりました。ただ、長期金利が上昇すると、相対的な割高感が意識されやすい高PERのハイテク株が売られ、相場の重石となりました。また、ディフェンシブ株の下落も目立ちました。結局、NYDowは小幅に続伸し、NASDAQは反落しました。

812日の日本市場では、インフレの鈍化を示唆する指標が相次いで発表されたことを背景に米株式市場が堅調に推移した流れが引き継がれ、運用リスクをとる動きが優勢となりました。市場予想を上回る決算を手がかりとした個別銘柄への物色も、相場を押し上げました。日経平均は大幅に反発し、およそ7か月ぶりの高値水準で終えました。ただ、短期筋のショートカバー(売り方の買い戻し)が中心で、長期資金の流入は乏しいとの見方もあるようです。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+13.2%と前営業日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+3.6%と前営業日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+8.5ポイントと前営業日よりプラス幅を拡げ、日経平均が2430円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+5.1ポイントと前営業日よりプラス幅を拡げ、日経平均が1460円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.39VIX20.20と、日米市場のボラティリティーは低下しました。日経VIは、投資家の不安心理の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比較して、日経平均は強い状態が続いており、強さは前営業日より拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-2.6と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.61ポイント(日経平均換算で24890円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率0.9%減で、予想値の0.4%増を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、下方修正が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の耐久財受注、6月の小売売上高、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、7月の消費者物価指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です。

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比52.8万人増で、市場予想の25万人増を上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の中古住宅販売仮契約指、6月の新築住宅販売件数数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、7月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は06負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.5%利上げし、マイナス金利と量的緩和策を終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、88 2.9115% 89 2.9210% 810 2.9227%と、ここ5年の最高金利を連日で更新しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2022810日に記録した2.9227%がここ5年間の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.91PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.4ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+4.9%で、こちらは3か月前より5.0ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.6%となり、日経平均は190円の割安から420円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-190円から+420円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.61ポイントから2.69ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

812日の米国市場では、8月のミシガン大学消費者信頼感指数などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを330円ほど上回り、下値は想定ラインを720円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在28750円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在28120円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日連続で上回りました。一方、日経VIは、不安心理の高まりを示す20を下回り、ボラティリティーは低下傾向にあります。過熱感はさほど見られず、日経平均にはまだ上値余地がありそうです。



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