7月18日、NYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。19日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付くと、午前中は10円安から100円高の間でもみあい、午後は50円高から70円安と下げに転じて、結局10円安で取引を終えました。日経平均の終値は29円安の22764円で、出来高は12.07億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
7月18日の米国市場では、モルガン・スタンレーなど主要企業の好業績を手がかりとした買いが続きました。NYDowは5日続伸しました。
7月19日の日本市場では、米国株高を受けて買いが先行しました。外国為替市場で円相場が円安ドル高水準で推移していることも支援材料となりました。しかし、午後に入ると、上海株安が嫌気され、利益確定の売りが優勢となりました。日経平均は5日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+6.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+2.4%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より0.1ポイント拡大して-7.0ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1590円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.99ポイント(日経平均で15310円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP確定値は前期比年率2.0%増で、改定値の2.2%増から下方修正されました。1~3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標を見てみます。7月のニューヨーク連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、7月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.3万人増で、市場予測の19.0万人増を上回りました。また、失業率は4.0%で、先月の3.8%から悪化したものの、これは労働参加率が高まったことが主因とされています。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。5月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、7月の住宅市場指数指数は市場予想と一致しました。一方、6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売仮契約、5月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.6%で、市場予想の+6.8%を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けており、金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小方向である点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、7月13日 2.3360% → 7月16日 2.3326% → 7月17日 2.3419%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。上昇ピッチは一服していますが、金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年5月4日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.5、PBRが1.23となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.1%で、これは3か月前より25.8ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%となり、日経平均の割安幅は350円から380円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-380円 から-280円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.83ポイントから2.86ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。米国の長期金利は上昇し、円安圧力が強まりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
7月19日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数のほか、マイクロソフト、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、30円ほど下回り、下値は想定ラインを180円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ-100円 (現在22960円近辺)、下値がボリンジャーバンド+1σ-100円(現在22580円近辺)と想定されます。
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7月18日、NYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。19日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付くと、午前中は10円安から100円高の間でもみあい、午後は50円高から70円安と下げに転じて、結局10円安で取引を終えました。日経平均の終値は29円安の22764円で、出来高は12.07億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
7月18日の米国市場では、モルガン・スタンレーなど主要企業の好業績を手がかりとした買いが続きました。NYDowは5日続伸しました。
7月19日の日本市場では、米国株高を受けて買いが先行しました。外国為替市場で円相場が円安ドル高水準で推移していることも支援材料となりました。しかし、午後に入ると、上海株安が嫌気され、利益確定の売りが優勢となりました。日経平均は5日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+6.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+2.4%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より0.1ポイント拡大して-7.0ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1590円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.99ポイント(日経平均で15310円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.99ポイント(日経平均で15310円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP確定値は前期比年率2.0%増で、改定値の2.2%増から下方修正されました。1~3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標を見てみます。7月のニューヨーク連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、7月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.3万人増で、市場予測の19.0万人増を上回りました。また、失業率は4.0%で、先月の3.8%から悪化したものの、これは労働参加率が高まったことが主因とされています。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。5月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、7月の住宅市場指数指数は市場予想と一致しました。一方、6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売仮契約、5月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.6%で、市場予想の+6.8%を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けており、金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小方向である点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、7月13日 2.3360% → 7月16日 2.3326% → 7月17日 2.3419%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。上昇ピッチは一服していますが、金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年5月4日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.5、PBRが1.23となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.1%で、これは3か月前より25.8ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%となり、日経平均の割安幅は350円から380円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-380円 から-280円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.83ポイントから2.86ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。米国の長期金利は上昇し、円安圧力が強まりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
7月19日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数のほか、マイクロソフト、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、30円ほど下回り、下値は想定ラインを180円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ-100円 (現在22960円近辺)、下値がボリンジャーバンド+1σ-100円(現在22580円近辺)と想定されます。
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