[市況]
4月17日、NYDowとNADSAQは上昇しました。4月18日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付くと、午前中10円安から200円高と上昇幅を拡げ、午後は200円高から80円高の間でもみあって、結局、120円高で取引を終了しました。日経平均の終値は144円高の28658円で、出来高は10.12億株と比較的高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。
4月17日の米国市場では、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数が市場予想を上回ったことが好感され、景気敏感株や消費関連株の一角が買われました。ただ、経済指標の上振れを受けてFRBが利上げを続けやすくなるとの見方から、売りが優勢となる場面もありました。大手ハイテク企業の決算発表を前に、様子見ムードも強まりました。NYDowとNASDAQは反発しました。
4月18日の日本市場では、米景気に対する楽観的な見方が広がり、景気敏感株を中心に買いが優勢となりました。ただ、日経平均が年初来高値を上回ったこともあり、達成感から利益確定の売りが出て相場の上値を抑えました。TSMCの設備投資減額報道を受けて値がさの半導体関連株が売られたことも重石となりました。日経平均は8日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+12.4%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+4.4%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は-1.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が520円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は+0.1ポイントとプラスに転換し、日経平均が30円ほど割高であることを示しています。
日経VIは16.09と低下し、VIXも16.95と低下しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比較して、日経平均は強い状態に転換しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-6.8、米国-1.7と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.09ポイント(日経平均換算で36580円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.6%増で、改定値の2.7%増から下方修正されました。一方、10~12月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指は市場予想を上回りました。一方、3月の小売売上高、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のISM製造業景況指数、2月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝8負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比23.6万人増で、市場予想の23.0万人増をやや上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面ではやや弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数数は予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.5%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は5勝1負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。
新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは2023年5月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、22年12月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では4月12日 5.2512% → 4月13日 5.2602% → 4月14日 5.2617%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年4月14日に記録した5.2617%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.70、PBRが1.23となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+2.7%で、こちらは3か月前より3.3ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.0%となり、日経平均の割安幅は230円から300円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-530円から-190円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.03ポイントから3.12ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。
ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています。
4月17日の米国市場では、3月の住宅着工件数のほか、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ネットフリックス、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを170円ほど下回り、下値は想定ラインを320円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在28870円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在28300円近辺)が下値の目安になりそうです。
信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。また、日米市場の不安心理は後退しています。日経平均は8日続伸しました。あと数日は、ボリンジャーバンド+2σに沿った動きが期待できそうです。
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