[市況]
4月25日、NYDowとNADSAQは大幅下落しました。4月26日の日経平均先物は、前日比150円安で寄り付くと、午前中は230円安から70円安の間で上下し、午後は150円安から300円安の間で上下して、結局、210円安で取引を終了しました。日経平均の終値は203円安の28416円で、出来高は11.10億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は5日平均を3日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。
4月25日の米国市場では、決算発表で4割超の預金流出が判明したファースト・リパブリック・バンクが暴落し、他の地銀株にも売りが波及しました。また、地銀が融資に慎重になり、景気に悪影響が及ぶとの懸念から、消費関連株や景気敏感株にも売りが広がりました。業績下振れへの警戒感から、ハイテク株も売られました。NYDowは3営業日ぶりに反落し、NASDAQは続落しました。
4月26日の日本市場では、前日の米株式市場で主要3指数がそろって下落した流れが引き継がれ、銀行株を中心にリスク回避の動きが優勢となりました。米金利の低下を受けて円相場が円高ドル安方向に推移したことも、輸出関連株の重石となりました。一方で、マイクロソフトやアルファベットの決算が市場予想を上回ったことが投資家心理を支えました。日経平均は3営業日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は+7.6%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+3.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.4ポイントとプラスに転換し、日経平均が110円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が200円ほど割高であることを示しています。
日経VIは16.84と上昇し、VIXは18.76と上昇しました。両指数ともに、まだ不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-7.0、米国-1.9と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.04ポイント(日経平均換算で34260円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.6%増で、改定値の2.7%増から下方修正されました。一方、10~12月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、3月の小売売上高、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のISM製造業景況指数、2月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は4勝8負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比23.6万人増で、市場予想の23.0万人増をやや上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面ではやや弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数数、3月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、3月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+0.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は5勝1負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。
新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは2023年5月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、22年12月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では4月20日 5.2727% → 4月21日 5.2551% → 4月24日 5.2681%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年4月20日に記録した5.2727%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.51、PBRが1.21となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+3.6%で、こちらは3か月前より1.3ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2%となり、日経平均は170円の割安から40円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-280円から+40円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.01ポイントから2.96ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。
ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています。
4月26日の米国市場では、3月の耐久財受注のほか、ボーイング、メタ・プラットフォームズ、イーベイなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、ほぼ想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを410円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在28710円近辺)が上値の目安に、25日線(現在28070円近辺)が下値の目安になりそうです。
信用の売り圧力は、かなり強まりました。ただ、日米市場の楽観的な心理はやや後退しました。きょうの日経平均は反落しました。しばらくは、主要企業の今期業績見通しに左右される相場が続きそうです。
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