日経平均の予想: [2023/04/06]今後の日経平均の見通し

Thursday, April 06, 2023

[2023/04/06]今後の日経平均の見通し

[市況]

45日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。46日の日経平均先物は、前日比160円安で寄り付くと、午前中は160円安から360円安と下落幅を拡げ、午後は390円安から290円安の間でもみあって、結局、290円安で取引を終了しました。日経平均の終値は340円安の27472円で、出来高は11.47億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

45日の米国市場では、3月のADP全米雇用リポートや3月のISM非製造業景況指数など、市場予想を下回る経済指標の発表が相次いだことから、景気の先行きに対する懸念が強まり、景気敏感株や消費関連株、ハイテク株に売りが向かいました。反面、景気動向に左右されにくい製薬などディフェンシブ株は買われました。結局、NYDowは反発し、NASDAQ3日続落しました。

46日の日本市場では、米景気の先行きに対する懸念が重石となり、値がさの半導体関連株や景気敏感株を中心にリスク回避の動きが広がりました。7日に発表予定の3月の米雇用統計に対する警戒感もあり、目先の利益を確定する売りが相場を押し下げました。日経平均は続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は+0.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.4%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上に出ました。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには青信が点灯しています。中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は-4.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1290円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差も-2.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が740円ほど割安であることを示しています

 

日経VI17.96と上昇し、VIX19.08と上昇しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態であり、前日より弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.2、米国-2.2と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.90ポイント(日経平均換算で28860円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.6%増で、改定値の2.7%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指は市場予想を上回りました。また、2月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、3月のISM非製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のISM製造業景況指数、2月の耐久財受注、2月の鉱工業生産指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、2月の小売売上高、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は48で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比31.1万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.6%で、先月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数数は予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.5%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、331 5.1927% 43 5.2225% 44 5.2188%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、202343日に記録した5.2225%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.15PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.7%で、こちらは3か月前より2.8ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.3%となり、日経平均の割安幅は50円から360円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-360円から+460円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.89ポイントから2.83ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

46日の株式市場では、週間の新規失業保険申請件数などが注目されるでしょう。引き続き、金融株や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを480円ほど下回り、下値は想定ラインを110円ほど下回りました。目先は、25日線+100円(現在27840円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在27190円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、かなり強まりました。ただ、日米市場の不安心理は、まだ高いとは言えません。日経平均は続落しました。日本市場の弱さが目立ちますが、200日線を割るかどうかが次の注目点です。



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