[市況]
21日のNYSEとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日比200円安で寄り付き、前場はその水準で小動きでしたが、後場は下げ幅を広げ、結局580円安で引けました。日経平均は631円安で出来高は21.6億株と低水準で、寄付き前の外人は1660万株の売り越しとなり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス転換し、個別銘柄は"売り"が有利な状況となりました。
21日の米国株式市場では前日の大幅上昇で利益確定売りが出やすかった上に、TI、キャタピラー、デュポンなどの業績発表が市場予想を下回り、売りが優勢となりました。特にナスダック指数を押し下げました。リーマンの債券を対象としたCDSの清算の影響で一時金融機関が下げる場面もありましたが、銀行間取引金利の低下が続いているうえ、FRBがMMFからCPを買い取る制度を導入すると発表するなど、信用収縮の改善への期待感が相場を下支えしたようです。
22日の日本市場では、米市場安を嫌気した売りに加え、アジアの株式相場が総じて軟調に推移したことや、円相場が対ユーロやドルで急ピッチに上昇したことも重なり、世界景気の減速や企業業績悪化への警戒感が出て短期売買を手掛ける投資家からは輸出関連株などに見切り売りが出たようです。
[テクニカル視点]
日経平均は下落し、75日線、25日線の下に在り、9日線を割りました、短期トレンドは"赤信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-78.9%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率は-33.4%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は2.4ポイントに拡大しました。市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.8ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は拡大しました。
NY Dowは、下落し、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在ります。Nasdaqは、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在り、9日線を割りました。米国市場の短期トレンドは"黄信号"ですが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米市場は、銀行間取引金利の低下やFRBによるCP買取などの好材料と企業業績悪化の悪材料で乱高下しました。金融危機対策の進展と企業業績の下方修正やヘッジファンドの解約売り懸念の綱引きで、短期的に、乱高下はまだ続く可能性があります。中長期的に見ると、世界景気の減速はますます顕著となり、加えて、不動産価格は下げ止まったとは言えず、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうですので、先安感はまだ残っています。10月中旬から欧米主要企業の決算が始まりましたが、これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、21日は下落しました。(10月の年初来安値12.9ドルに対して現在14.2ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-8.8%で、予想PERは11.3、PBRは1.03となりました。
[今後の見通し]
日本市場はNY Dowの下落率以上に下げました。その結果、ドルベースの終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-3.1%(-310円)とマイナス幅が拡大しました。プレミアム値はここ2週間は-450~+50の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線の下に在り、9日線を割って三角持合を形成しました。売買代金は連日2兆円を下回り、VIX (恐怖指数)は依然として高く、投資家心理は改善していません。セオリーから云っても、下げ過程の三角持合ですから下離れの可能性が高そうです。
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