[市況]
7日のNYSEとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日比460円安で寄り付き、前場はその水準で揉み合いでしたが、後場は一段安となり、結局1120円安で引けました。出来高は28.6億株と高水準ながら、寄付き前の外人は400万株の売り越しとなり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅を拡大し、個別銘柄は"売り"が有利な状況ですが、4日連続安値更新銘柄数は1000を超え異常な事態となりました。
7日の米国株式市場では、FRBが企業のCPを直接購入する制度を創設すると発表すると、信用収縮改善への期待感から買いが先行して始まりましたが、増資や減配、減益決算を発表したバンカメが売られ、MUFGがモルガンへの出資を引き揚げるとのうわさが出て、モルガンが急落し、英銀大手が資金支援で英政府に要請と報じられたことなどで金融株売りを誘いました。バーナンキFRB議長の講演は、早期利下げを示唆したものの景気に慎重な見方を示したことで株価の支えとはならず、株価指数は下げ幅を広げて終えました。
8日の日本市場は、前日の米市場が金融不安が止まらずに大幅安となったことを嫌気し、全面安となりました。世界的な株価の下落基調が続いていることから、国内の機関投資家などもリスク資産を圧縮する目的で換金売りが続いたようです。ファンドも顧客の解約に備えた換金売りを出さざるを得ず、信用取引の追い証を迫られた個人投資家も見切り売りも増えたようで相場を一段と押し下げたようです。
[テクニカル視点]
日経平均は下落し、75日線、25日線、9日線の下に在り、今日も年初来安値を更新し、短期トレンドは"赤信号"のままです。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-79.7%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-30.8%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドも、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は2.3ポイントに拡大しました。市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.2ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は拡大しました。
NY Dowは、下落し、75日線、25日線、、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。Nasdaqも、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。米国市場の短期トレンドは"赤信号"で、中期トレンドも、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
FRBの企業発行CPの直接購入策も結局評価されず、株価下落の連鎖は止まらずに、今日は暴落し年初来安値を更新しました。市場は根本的な信用収縮対策である銀行への資本注入策を要求して下げているように思います。英国政府のように各国政府も市場の下落には耐えられずいずれ対応せざるを得ないのではないでしょうか。しかし、時間がいま少し掛かるように思います。中長期的に見ると、世界景気の減速はますます顕著となり、加えて、不動産価格は下げ止まったとは言えず、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうですので、先安感はなかなか払拭できません。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。市場の関心は10月中旬の欧米主要銀行の決算に移ると思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、7日は下落しました。(9月安値14.0ドルに対して現在15.5ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-8.6%で、予想PERは11.2、PBRは1.03となりました。
[今後の見通し]
日本市場は目先のリバウンドは続かず、今夜の米国市場の大幅安を見越して暴落して終了しました。その結果、ドルベースの終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-4.1%(-450円)と割安度は大幅に拡大しました。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線、9日線の下に在り、今日も安値を更新して、下落基調が顕著です。テクニカル指標によるリバウンドも一時的で下値の目途となりませんでした。CBOE VIX (恐怖指数)の高まりを見ても、尋常ではない市場心理の悪化を示しているものと思います。暴落にも拘らず出来高はそれほど増加せず、セリング・クライマックスとも言えません。より強力な材料が早急に出てこないと、短期的にも一段の下げを覚悟せざるを得ない状況でが、市場は待ったなしで対策を要求しているようです。欧米による緊急利下げが発表されましたので、どの程度効果が有るかを見たいと思います。
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