[市況]
8日のNYSEとNASDAQは下落しましたが、日経平均先物は前日比110円高で寄り付き、前場は揉み合いながら240円高まで上昇、後場寄り後に一段高となりましたが、その後下げに転じ、結局110円高で引けました。寄付き前の外人は30万株の売り越しで、出来高は29.1億株と高水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅を縮小し、個別銘柄は"売り"が有利な状況ですが、5日連続安値更新銘柄数は1000を超え異常な事態は続いています。
8日の米国株式市場では、FRBやECBが緊急利下げを行うと発表したことが好感され、値ごろ感からの買いを誘ったことで、NY Dowは一時約180ドル上げる場面がありました。しかし、銀行間の短期金利の高止まりは止まらず、非鉄大手アルコアが発表した決算が市場予想を下回り、売りと買いが交錯して、相場は終日方向感に乏しい動きとなりました。引け前にポールソン米財務長官が金融市場の混乱はすぐには終息しないと述べたと伝わったことが売りを誘い、相場は下げて終えました。
9日の日本市場は、前日に過去3番目の下落率を記録したこともあり、主力の輸出関連株に買い戻しが入ったことや、ポールソン米財務長官が公的資金による米金融機関への資本注入を示唆したことが銀行株などへの買いにつながり、日経平均は上げ幅を200円強に広げる場面もありましたが、上値では企業業績の下振れを警戒した売りやリスク許容度の低下した欧州投資家による換金売りも続いたようで、大引けにかけて売り直されました。
[テクニカル視点]
日経平均は下落し、75日線、25日線、9日線の下に在り、今日も年初来安値を更新し、短期トレンドは"赤信号"のままです。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-79.3%とマイナス幅は若干縮小し、200日線との乖離率は-31.0%とマイナス幅が若干拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドも、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は2.1ポイントに縮小しましたが、市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.8ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は縮小しました。
NY Dowは、下落し、75日線、25日線、、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。Nasdaqも、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。米国市場の短期トレンドは"赤信号"で、中期トレンドも、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
FRBとECBによる緊急利下げだけでは銀行間金利は下がらず、直ぐには思ったほどの効果はありませんでした。やはり、市場は根本的な信用収縮対策である銀行への資本注入策を要求して下げているように思います。英国政府のように各国政府も市場の下落には耐えられずいずれ対応せざるを得ないのではないかと思われます。当面の市場の関心事はどうすれば、銀行間取引が正常となるかであることが、明確になったように思います。各国とも大手金融機関は潰さないとの強力なメッセージと法的措置及び市場が安心する為の金融機関のディスクローズが必要と思われますので、実際に資本を注入し銀行間取引が正常化するには、いま少し時間が掛かるように思います。中長期的に見ると、世界景気の減速はますます顕著となり、加えて、不動産価格は下げ止まったとは言えず、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうですので、先安感はなかなか払拭できません。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。市場の関心は10月中旬の欧米主要銀行の決算に移ると思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、8日は下落しました。(9月安値14.0ドルに対して現在14.4ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-8.6%で、予想PERは11.2、PBRは1.03となりました。
[今後の見通し]
日本市場は米国市場安にも関わらず昨日の下げ過ぎ分だけ下げ渋りました。その結果、ドルベースの終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-1.8%(-200円)と割安度は縮小しました。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線、9日線の下に在り、下落基調が顕著です。CBOE VIX (恐怖指数)は依然として高く市場心理の悪化は改善していません、しかし、東証1部のPBRが1を下回り、騰落レシオが55を下回るなど、いずれにせよ反転上昇も近いことが過去の例から伺えます。目先は突っ込みは買いでよいのではないでしょうか。
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