[市況]
28日のNYSEと、NASDAQが大幅上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比470円高で寄り付き、前場は一時520円高となる場面もありましたが、後場にかけて下落に転じました。しかし、引け際に買い直され、結局570円高で引けました。日経平均は589円高で、寄付き前の外人は410万株の売り越しながら、出来高は29.8億株と高水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はなくなりましたので、個別銘柄は"売り"、"買い"が拮抗しています。
28日の米国株式市場では8月の住宅価格指数の下落率が過去最高となり、10月の米消費者信頼感指数は38.0と前月から急低下し、過去最低となるなど、米景気悪化懸念が改めて強まり、午前中にNY Dowは下げに転じる場面もあったものの、FOMCの利下げを始め、日・欧の利下げ協調の可能性が高まったことや、アジア市場と欧州市場の急反発から、リスク資産圧縮の動きが一巡したとの思惑が強まり、大きく買い戻されました。
29日の日本市場では、円安と、このところの下げで主力株が相次ぎPBRが1倍割れとなっており、割安感から輸出関連株を中心に買い戻す動きが顕著でした。午後はGLOBEXでNASDAQ先物が下げて推移したことから売りが広がり、日経平均は一時8000円を割り込む場面もありましたが、引けにかけて買い戻され上昇率は過去7番目の大きさで終了しました。
[テクニカル視点]
日経平均は大幅上昇しましたが、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-81.4%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率は-36.1%とマイナス幅が縮小しましたが、3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は2.8ポイントに縮小しましたが、市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.2ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は拡大しました。
NY Dowは、大幅上昇しまし、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線を抜きました。Nasdaqは、まだ75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは"黄信号"となりましたが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は世界市場の落ち着きと、利下げ期待で、大きく上昇しました。市場テーマである①IMFは赤字国の通貨危機を救えるか、②世界的リセッションの対策は出るのか、③株安で新たな金融危機は来ないのか?という課題のうち①、③に改善が見られるので、信用の投売りや、ヘッジファンドの解約売りを始め、投資家の現金回帰は一旦は収まったようです。しかし、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。ただ、超長期で見れば日経平均のPBRの1倍割れは明らかに買い場到来を意味していると思われます。ここからは、日本の主要企業の中間決算と米国の経済指標、金利切り下げの有無などに関心が移るものと思います。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、28日は上昇しました。(10月の年初来安値11.7ドルに対して現在13.5ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-10.0%で、予想PERは10.9、PBRは0.98となりました。
[今後の見通し]
日本市場は乱高下の後、上昇して終わりましたが、NY Dowの上昇率には若干及びませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-3.8%(-350円)とマイナス幅が拡大しました。プレミアム値はここ2週間は-650~+180の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線の下に在りますが、9日線に接近しています。VIX (恐怖指数)は若干下がったものの、まだ高い位置にありますので、今日の上げは、まだ疑心暗鬼の中での上昇と見るのが妥当でしょう。目先の米国市場は大統領選挙が終わるまでは株価対策は出しずらく、FOMCの利下げ幅の結果次第で波乱も考えられます。日本市場も空売り規制で一方的な売りも減りそうですので、しばらくは乱高下の可能性が高いように思います。
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