[ファンダメンタルの現状認識]
先週のNY Dowは経済指標の悪化とシティグループ経営の実質政府関与が嫌気され、金融株主導で下落しました。今週は公的資金による株式買い取りを含む政府の株価対策案の中味に関心が集まりそうです。一方、中長期的には、世界同時不況と、ヘッジファンドの売り圧力、不動産価格の下げ傾向に変化は見られません。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は4.2ポイント割高となりました。先週と比べ割高度は0.2ポイント減少しました。日本市場はファンダメンタルには米国市場に比べ利益の減少率が著しく、日経平均のPERは72.0と云う数字になっており、明らかに割高です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週も大きく下落し、昨年来安値を下回りました。今週も下値を探る展開となりそです。
②決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%から-87.7%の減益予想に悪化しました。先週も、悪化しました。
③長期金利は若干低下したものの、日米の金利差は1.5%と縮小しましたが、為替は95-98円台と円安ぎみに推移しました。今週は、そろそろ円高へのもどしもありそうです。
④11月初旬に、OECDによる日米の2009年のGDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%%となり、米国は-0.9%となりましたので、この面では日本市場にとって0.8ポイント強気材料となりました。
⑤外人は2月3週は売り越しで、2月4週も売り越だった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①②⑤が弱気材料で③の為替が強気材料でした。今週も①⑤と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、0.3ポイント割安となり、先週比5.0ポイント割安幅は縮小しました。一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は-30.4%となり先週と比較してマイナス幅は2.4ポイント縮小し、総合乖離率は-40.9%となりマイナス幅は9.9ポイント縮小しました。3つともマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"のままです。日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上にありますので短期的には"黄信号"です。米国市場はNY Dowは一目均衡表の雲と25日線、9日線の下に在ります。Nasdaqも一目均衡表の雲と25日線、9日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"です。
[今週の見通し]
今週も、ファンダメンタル面では米金融機関のストレス・テストの結果が気になり、ビッグ3の破産法11条適用がちらつく中では大きな反発ほ望めないと思われます。テクニカル面でも、NY Dowが年初来安値を割ってしまい、日経平均が昨年10月の安値7162円を終値で割ってしまいましたので、日米とも、下降トレンドを確認した形になっています。円安と株価対策の可能性と言う追い風は有るものの、米国市場が下げ止まらないと、日経平均は底堅い展開は期待できるものの、一段高は望めそうも有りません。
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