[市況]
16日のNY DowとNASDAQは小幅下落しましたが、日経平均先物は前日比30円高で寄り付き、前場に20円安まで売られる場面がありましたが、その後は上昇に転じ、結局210円高で引けました。日経平均は244円高でした。寄付き前の外人は220万株の売り越しながら、出来高は23.2億株に増加し、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅を拡大しました。個別銘柄は引き続き、"買い"が有利な状況です。
16日の米国株式市場では、英銀大手バークレイズが2009年の業績が堅調なスタートを切ったと発表したことなどが好感され、NY Dowは170ドルほど上昇する場面がありました。バーナンキFRB議長がテレビとのインタビューで、米国の景気後退が年内に終わる可能性を示したことも安心材料になりました。しかし、NY Dowは10%ほど上昇していたこともあり、上値で利益確定売りが出始め、引けにかけては手じまい売りが膨らみ、小幅ながら下げに転じて終えました。
17日の日本市場では、景気対策や海外金融システムの安定への期待を背景に、信用売の買い戻しが続いたことが相場の押し上げとなったようです。また、先物の売方が損失回避の買いを入れたことで、値がさ株を中心に日経平均の影響度が高い銘柄が上昇したようです。
[テクニカル視点]
日経平均は、上昇し、75日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在りますので、短期トレンドは"青信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-19.0%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率も-24.1%とマイナス幅が縮小しましたが、3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.5ポイント上回るレベルに転換し、割高となりました。
NY Dowは、16は下落し、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在ります。Nasdaqは、一目均衡表の雲、75日線、25日線の下にありますが、9日線の上に在りますので、米国市場の短期トレンドは、"黄信号"です。中期トレンドは、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.4ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、今月末の政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きが市場の懸念材料です。中国の追加景気対策が明らかになりましたが、好材料として持続できていません。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策は、まだ市場評価を得たとは言えないようで、金融不安の払拭には至っていませんが、最近の米大手銀行の業績好転報道やFRB議長の会計制度見直し発言は一旦市場の評価を得たようで、株価への好影響はしばらく持続しそうです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、16日も上昇しました。(3月の安値1.02ルに対して現在2.33ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-88.3%で、予想PERは75.9、PBRは0.89となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落に反して大幅に上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+2.9%(210円の割高)となり割高幅が大幅に拡大しました。プレミアム値はここ1週間は-170~+240の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線の下に在りますが、9日線、25日線の上にありますので、短期的には引き続き"青信号"でした。日本市場は、中期的には疑心暗鬼な面もありますが、米国市場の一服にも関わらず上昇した点を見ても期末のドレッシング買いの要素が見てとれます。政府の追加経済対策が繰り返し材料視されるなど、今週いっぱいは、基本強気で良い様に思います。
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