[市況]
18日、NYDowとNASDAQが上昇したことを受けて。19日の日経平均先物は、前日終値より40円高く寄り付き、前場には60円高まで買われる場面もあったものの、その後は下落に転じて、最終的に60円安で引けました。日経平均は26円安で引け、寄り付き前の外国人は1530万株の売り越しで、出来高は18.7億株と増加しました。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮小していまが、個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
18日の米国市場では、朝方は前日までの相場の上昇基調が続いた後とあって、利益確定売りが出て安く推移していましたが、FRBがFOMCで長期国債買い入れに加え、住宅ローン担保証券の買い入れ増を決めたと発表。市場は、積極的施策と受け止められNY Dowは一時7500ドル台を回復しました。
19日の日本市場では、米国が追加的な金融緩和に踏み切ったことで円が対ドルで急伸し、業績の下振れ懸念が強まった輸出関連株の一角が売られました。前日までの上昇に警戒感が広がっていたうえ、3連休前の週末とあって持ち高調整の売りも出やすかったようです。過度な金融不安の後退で金融関連株は買われ、相場を下支えしました。
[テクニカル視点]
日経平均は75日線の下にありますが、9日線と25日線を上回っているので、短期トレンドは青信号が点っています。一方、総合乖離率は-18.8%とマイナス幅を広げ、200日線との乖離率は-23.7%とマイナス幅は変われませんでした。日経平均は一目均衡表の雲の下にあり、3つの要素すべてがマイナスなので、中期的トレンドには赤信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.1ポイント下にある状態であり、日本市場は割安幅が広がりました。
NYDowは、75日線と一目均衡表の雲の下にありますが、25日線、9日線の上に在ります。NASDAQも、75日線と一目均衡表の雲を下回っていますが、25日線、9日線の上に在りますので、米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、長らく日本市場が割安であることを示していましたが、このところ日本企業のPERが急激に悪化しているため、現在は日本市場が4.8ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです(1つめの問題については、GMとクライスラーの改革案が提出されたため、今後は中身についての議論となるでしょう。GMは、4年連続となる大幅な赤字を発表しました。政府の対応が注目されます。2つめについては、久々に米新規住宅着工件数に改善がみられました。今回のFRBによる住宅ローン担保証券の買い入れが長期金利下げをもたらし、住宅ローン金利低下に繋がりそうです。ここしばらく、住宅関連を中心とした経済指標への関心が向かうと考えられます。3つめに関して、ストレステストの実施や、シティ優先株の普通株への転換といった対策は、まだ金融不安の払拭につながっていません。しかし、米欧の大手銀行の業績が好転したとの報道や、FRB議長が会計制度を見直すと発言したことなどは、市場の評価を得ているようです。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せていません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、当面続くことが予想されます。また、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、企業の資金調達への悪影響や、銀行の損失拡大懸念をもたらしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は18日、上昇しました(3月安値1.02ドルに対し、現在3.08ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、今期予想増益率が-88.4%、予想PERが76.7、PBRが0.89となっています。PBRが1.0を割っているため、超長期的には買い場が到来していると言ってよさそうです。
[今後の見通し]
日経平均は、円高が原因で、米国市場の上昇にも関わらず下落しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.1%(150円割高)となっており、日経平均は割高幅を広げました。プレミアム値は、ここ1週間、-170円~+270円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は、一目均衡表の雲と75日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあるので、短期的には青信号が点っています。日経平均は急激な円高にも関わらずプレミアムが増加したこと見ても、強い動きが続いています。
政府・日銀の景気対策が繰り返し材料視されている点から、期末のドレッシング買いは続いているようです。ボリンジャーバンドの+2σに到達しましたので、目先はもみあうことも仕方ありませんが、期末の最終売買日の24日までは基本的に強気を維持していいものと思われます。
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