[ファンダメンタルの現状認識]
先週のNY Dowはシティグループの実質政府関与,AIGの巨額の赤字が嫌気され、金融株主導で下落しました。今週も金融システム不安が株価を抑える状況が続きそうです。一方、中長期的には、世界同時不況と、ヘッジファンドの売り圧力、不動産価格の下げ傾向に変化は見られません。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は4.6ポイント割高となりました。先週と比べ割高度は0.4ポイント増加しました。日本市場はファンダメンタルには米国市場に比べ利益の減少率が著しく、日経平均のPERは69.2と云う数字になっており、明らかに割高です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週も大きく下落し、昨年来安値を下回りました。今週も下値を探る展開となりそです。
②決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%から-87.9%の減益予想に悪化しました。先週も、悪化しました。
③長期金利は若干低下したものの、日米の金利差は1.6%と縮小しましたが、為替は97-99円台と円安ぎみに推移しました。今週は、そろそろ円高へのもどしもありそうです。
④11月初旬に、OECDによる日米の2009年のGDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%%となり、米国は-0.9%となりましたので、この面では日本市場にとって0.8ポイント強気材料となりました。
⑤外人は2月4週は売り越しで、3月1週も売り越だった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①⑤が弱気材料で③の為替が強気材料でした。今週も①⑤と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、0.1ポイント割安となり、先週比0.2ポイント割安幅は縮小しました。一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は-33.0%となり先週と比較してマイナス幅は2.6ポイント拡大し、総合乖離率は-50.7%となりマイナス幅は9.8ポイント拡大しました。3つともマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"のままです。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので短期的には"赤信号"です。米国市場はNY Dowは一目均衡表の雲と25日線、9日線の下に在ります。Nasdaqも一目均衡表の雲と25日線、9日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"です。
[今週の見通し]
今週も、ファンダメンタル面では米金融機関のストレス・テストの結果が気になり、ビッグ3の破産法11条適用がちらつく中では大きな反発ほ望めないと思われます。テクニカル面でも、NY Dowが年初来安値を連続して割りました。日経平均は昨年10月のサラ場安値6995円は割っていないものの、日米とも、下降トレンドを確認した形になっています。円安と株価対策発動の可能性と言う売りにくい材料は有るものの、米国市場が下げ止まらないと、日経平均はいずれ、安値更新をトライする動きがありそうです。
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