[市況]
5日のNY DowとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は200円安く寄り付き、前場に130円安まで買われれた後は軟調に推移し、結局240円安で引けました。日経平均は260円安でした。寄付き前の外人は1980万株の売り越しで、出来高は20.5億株と低水準で。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス転換しました。個別銘柄は、"売り"が有利な状況となりました。
5日の米国株式市場では、前日に大幅反発した反動で利益確定売りが先行しました。中国の追加景気刺激策による需要増の思惑などから前日に大きく上げた非鉄大手アルコアなどに売りが膨らみ、SECに提出した年次報告書に経営リスクとして「事業継続能力に疑念がある」と記したことを受け、GMも急落し、銀行株も売られました。
6日の日本市場では、世界的な景気悪化や、欧米の金融システム不安の拡大も重しになり、主力株が売られました。週末とあって持ち高調整の売りが出たほか、きょう米国で発表となる2月の雇用統計の悪化を見越した売りもみられ、日経平均は一時、昨年10月27日に付けたバブル経済崩壊後の安値(7162円90銭)にあと4円あまりの水準まで下げました。
[テクニカル視点]
日経平均は、下落し、75日線、25日線の下に在り、9日線をわりましたので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-50.7%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-33.0%とマイナス幅が拡大しましたが、3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.1ポイント下回るレベルとなり、割安となりました。
NY Dowは、5日は下落しましたがg、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下にありますので、米国市場の短期トレンドは、"赤信号"です。中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.7ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きの有無と効果がいつ見えるかが市場の懸念材料です。中国の追加景気対策が明らかになりましたが、持続できません注目する必要がありそうです。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策は、まだ市場評価を得たとは言えないようで、金融不安の払拭には至っていません。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、6日は下落し年初来安値を更新しました。(3月の安値1.07ルに対して現在1.02ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-87.9%で、予想PERは68.8、PBRは0.83となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、円高にも関わらず米国市場の下落率以下でした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+3.3%(260円の割高)となり割高幅を拡大しました。プレミアム値はここ1週間は-220~+380の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。昨日のNY Dowは9日線を越えることはできず下落しました。日経平均は比較的底堅く推移しいますが、ここで、持ちこたえられず11月の安値を割ると、一段安となりそうです。
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