日経平均の予想: <20090311>日経平均の今後の見通し

Wednesday, March 11, 2009

<20090311>日経平均の今後の見通し

[市況]
10日のNY DowとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比300円高で寄り付き、その後も終日堅調に推移し、結局350円高で引けました。日経平均は321円高でした。寄付き前の外人は560万株の売り越しながら、出来高は20.0億株と低水準ながら増加し、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が縮小したものの、個別銘柄は、"売り"が有利な状況ですが、ピークアウト感が出てきました。
10日の米国株式市場では、シティグループのCEOが従業員向け書簡で、今年1、2月は利益が出ていると説明したと主要メディアが報じたことで、シティ株が急伸し、金融株に買いが膨らみました。バーナンキFRB議長が講演で、企業の資産価値の評価に関する会計基準の見直しに言及したことや、米下院金融サービス委員会のフランク委員長が空売り規制の再開について言及したことなどが好感され、幅広い銘柄に買いが広がり、株価指数はこの日の高値で終えました。
11日の日本市場では、米市場が大きく上昇した流れを引き継ぎ、前日まで日経平均が連日でバブル経済崩壊後の安値を更新していたこともあり、金融や自動車関連、電機といった業種の主力株には値ごろ感が強まっていたことも買いに拍車をかけました。

[テクニカル視点]
日経平均は、上昇し、75日線、25日線の下に在りますが、9日線を抜きましたので、短期トレンドは"黄信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-41.3%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率も-30.4%とマイナス幅が縮小しました。3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.4ポイント上回るレベルとなり、割高に転換しました。
NY Dowは、10日は上昇し、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線を抜きました。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線の下にありますが、9日線を抜きましたので、米国市場の短期トレンドは、"黄信号"となりました。中期トレンドは、"赤信号"です。

[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.6ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きが市場の懸念材料です。中国の追加景気対策が明らかになりましたが、好材料として持続できていません。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策は、まだ市場評価を得たとは言えないようで、金融不安の払拭には至っていませんが、シティーの業績好転やFRB議長の会計制度見直し発言は市場の評価を得たようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、10日は大幅に上昇しました。(3月の安値1.02ルに対して現在1.45ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-88.0%で、予想PERは71.2、PBRは0.85となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇にすなおに反応して上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+0.6%(40円の割高)となり割高幅は若干縮小しました。プレミアム値はここ1週間は-70~+370の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線の下に在りますが、9日線を抜き、短期的には"黄信号"となりました。日米とも市場は黄信号に変わり、米国市場の今回の好材料が口先だけでなく実現すれば、市場に短期的な上昇をもたらし得ると思われます。日経平均も目先は強気で良い様に思います。次のチェックポイントとしては、25日線の7500円を抜けるかどうかを見たいと思います。


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