[市況]
27日のNY DowとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は150円安く寄り付きましたが、その後は上昇に転じ後場には40円高まで戻す場面も有りましたが、結局30円安で引けました。日経平均は50円安でした。寄付き前の外人は1920万株の売り越しで、出来高は19.5億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大し、個別銘柄は、"売り"が有利な状況です。
2日の米国株式市場では、NY Dowは節目の7000ドルを割り込み、1997年4月以来約12年ぶりの安値で終えました。AIGが巨額の赤字決算を発表したことなどで金融不安が改めて強まり、幅広い銘柄が売られました。
3日の日本市場では、与謝野財務・金融・経済財政大臣が午前の閣議後の記者会見で、「必要以上の下げは看過することはできない」と発言したと伝わったことで、株価対策発動への期待から相場の下押し懸念が和らぎ、日経平均は小幅高に転じる場面もありましたが、下げ基調の続く米市場動向を見極めたいとして、買いも続きませんでした。TOPIXの終値は今年2月24日に付けたバブル後安値を下回り、25年3カ月ぶりの安値水準に落ち込みました。
[テクニカル視点]
日経平均は、下落し、75日線、25日線の下に在り、9日線を割りましたので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-51.2%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-33.1%とマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が028ポイント下回るレベルとなり、割安度は拡大しました。
NY Dowは、27日は下落し、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下にありますので、米国市場の短期トレンドは、"赤信号"です。中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.2ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きの有無と効果がいつ見えるかが市場の懸念材料です。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策は、まだ市場評価を得たとは言えないようで、金融不安の払拭には至っていません。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、2日は大幅に下落しました。(2月の安値1.5ドルに対して現在1.2ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-87.7%で、予想PERは69.3、PBRは0.85となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率ほどは下げませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+1.1(80円の割高)となり割高に転換しました。プレミアム値はここ1週間は-390~+10の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。NY Dowは今日も年初来安値を下回ってしまいましたが、日経平均は昨日割安度を拡大していましたので、下げ渋りました。政府の株価対策発動の可能性から積極的には売りにくいものの、引き続き昨年11月の安値を試す動きとなりそうです。
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