[市況]
6日のNY Dowは上昇、NASDAQは小幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日終値と同値で寄り付き、前場に60円高まで買われれた後は軟調に推移し、結局120円安で引けました。日経平均は87円安でした。寄付き前の外人は1290万株の売り越しで、出来高は17.4億株と低水準で。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大しました。個別銘柄は、"売り"が有利な状況です。
6日の米国株式市場では、2月の雇用統計は65万1千人減と市場予想にほぼ一致したものの、失業率は8.1%と前月から0.5ポイント上昇し雇用情勢悪化の長期化に対する懸念が残こりました。短期的に売られすぎの水準にあるため、買い戻しの動きがでたものの、金融システム不安や企業業績に対する懸念も根強く、相場の上値を抑えました。
9日の日本市場では、2008年10月27日のバブル後安値7162円を下回り、1982年10月6日の6974円以来、26年5ヶ月ぶりの安値水準に落ち込みました。欧米の金融問題の先行きに不透明感が根強く、景気低迷の長期化も嫌気され、売りに押されました。公的年金の買いや、政府の株価対策への期待があるものの、積極的な買い手掛かりには乏しく、値動きの悪さを嫌気した見切り売りも出たようです。
[テクニカル視点]
日経平均は、下落し、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-52.9%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-33.6%とマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.7ポイント下回るレベルとなり、割安度は拡大しました。
NY Dowは、6日は上昇しましたが、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下にありますので、米国市場の短期トレンドは、"赤信号"です。中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.6ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きが市場の懸念材料です。中国の追加景気対策が明らかになりましたが、好材料として持続できていません。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策は、まだ市場評価を得たとは言えないようで、金融不安の払拭には至っていません。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、6日は若干上昇しました。(3月の安値1.02ルに対して現在1.03ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-87.9%で、予想PERは68.3、PBRは0.82となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇にも関わらずプレミアム分下落しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-0.4%(40円の割安)となり割安に転換しました。プレミアム値はここ1週間は-70~+370の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。日経平均は昨年11月の終値での安値を割ってしまいました。米国市場に好材料が出ないと、さらに一段安もありそうです。
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