[市況]
9日のNY DowとNASDAQが下落しましたが、日経平均先物は前日比10円高で寄り付き、その後は軟調に推移したものの、狭い範囲の動きとなり、結局10円安で引けました。日経平均は31円安でした。寄付き前の外人は1150万株の売り越しで、出来高は17.2億株と低水準で。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大しました。個別銘柄は、"売り"が有利な状況です。
9日の米国株式市場では、製薬大手メルクが同業のシェリング・プラウを買収すると発表。財務負担への懸念などから大幅安となり、相場の重しとなった。欧州の銀行株安から、朝方は銀行株が売られましたが、売り方の買い戻しなどから、銀行株には上げる銘柄が目立ち、午前中にはNY Dowが高くなる場面がありましたが、金融システム不安や景気懸念は根強いとして、午後に株価指数はは下げに転じました。
10日の日本市場では、米市場の下落に加え、景気悪化懸念を背景に、継続的な売りが出て、安い水準での推移が続きましたが、7000円近辺は大手生保に株式含み損が発生する水準とされており、決算期末である3月の株価を支えるための年金買いが膨らむとの見方が、下値を売り込みにくくさせているようです。
[テクニカル視点]
日経平均は、下落し、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-53.1%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-33.7%とマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.4ポイント上回るレベルとなり、割高に転換しました。
NY Dowは、9日は下落し、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下にありますので、米国市場の短期トレンドは、"赤信号"です。中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.6ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きが市場の懸念材料です。中国の追加景気対策が明らかになりましたが、好材料として持続できていません。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策は、まだ市場評価を得たとは言えないようで、金融不安の払拭には至っていません。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、9日は若干上昇しました。(3月の安値1.02ルに対して現在1.05ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-88.0%で、予想PERは68.3、PBRは0.82となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落にも関わらず底堅い動きですた。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+0.8%(60円の割高)となり割高に転換しました。プレミアム値はここ1週間は-70~+370の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。日経平均は7000円が岩盤になっているようですが、持ちこたえられず、割れてしまうと、投げ売りで一段安も有りそうです。
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