[市況]
23日、NYDowとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、24日の日経平均先物は、前日終値より220円高く寄り付き、後場に前日比50円高まで売られる場面があったものの、その後はもどし、最終的に220円高で引けました。日経平均は272円高で引け、寄り付き前の外国人は140万株の売り越しでしたが、出来高は26.2億株と、増加しました。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡大し、個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
23日の米国市場では、ガイトナー米財務長官が最大1兆ドル規模の不良資産買い取り策の詳細を発表したことで、銀行株を中心に買いが膨らみ、NY Dowの上げ幅は今年最大となりました。2月の中古住宅販売件数が2ヶ月ぶりに増加し、市場予想を上回ったことも、好材料になりました。
24日の日本市場では、米国市場が金融不安の後退を好感して大幅に反発した流れを受け、さらに円安も進んだことから、大手銀行やハイテク、自動車など主力株を中心に軒並み高となりました。引けにかけては日経平均先物への売り方の買い戻しが加速して一段高となり、8500円台に乗せる場面もありました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線を上にあり、75日線も上回りましたので、短期トレンドは青信号が点っています。一方、総合乖離率は+0.2%とプラス転換し、200日線との乖離率は-18.1%とマイナス幅は縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の中に入りました、3つの要素中、マイナスは1つとなりましたので、中期的トレンドには、黄信号が点りました。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.9ポイント下にある状態となり、日本市場は割安に転換しました。
NYDowは、75日線と一目均衡表の雲の下にありますが、25日線、9日線の上に在ります。NASDAQは、25日線、9日線の上に在り、75日線と一目均衡表の雲を上回りましたので、米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点りました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、長らく日本市場が割安であることを示していましたが、このところ日本企業のPERが急激に悪化しているため、現在は日本市場が4.6ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです(1つめの問題については、GMとクライスラーの改革案が提出されたため、今後は中身についての議論となるでしょう。GMは、4年連続となる大幅な赤字を発表しました。今月末の政府の対応が注目されます。2つめについては、久々に米中古住宅販売や、新規住宅着工件数に改善がみられました。今回のFRBによる住宅ローン担保証券の買い入れが長期金利下げをもたらし、住宅ローン金利低下に繋がりそうです。ここしばらく、住宅関連を中心とした経済指標への関心が向かうと考えられます。3つめに関して、ストレステストの実施や、シティ優先株の普通株への転換といった対策は、まだ金融不安の払拭につながりませんでしたが、今回のガイトナー財務長官のバッドバンク構想詳細発表はかなり評価されました。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せていません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、当面続くことが予想されます。また、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、企業の資金調達への悪影響や、銀行の損失拡大懸念をもたらしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は23日、上昇しました(3月安値1.02ドルに対し、現在3.13ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、今期予想増益率が-88.9%、予想PERが86.8、PBRが0.95となっています。PBRが1.0を割っているため、超長期的には買い場が到来していると言ってよさそうです。
[今後の見通し]
日経平均は、昨日にすでに大きく上昇したこともあり、米国市場の上昇率ほどは上げませんでした。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%(90円割高)となっており、日経平均は割高幅を大幅に縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-80円~+570円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は、一目均衡表の雲と75日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあるので、短期的には青信号が点っています。日経平均のプレミアムは昨年末以来の割高水準になっていましたので、円安・米国市場の大幅上昇と云う環境の割には、上昇は限定的となりプレミアムは大幅に縮小しました。25日線との乖離率が12.7%となり、過熱感が出てきたことから、明日が期末の最終売買日の25日ですので、そろそろ、悪材料に敏感になるタイミングと思われます。
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