[市況]
12日のNY DowとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比240円高で寄り付き、その後も終日堅調に推移し、結局360円高で引けました。日経平均は371円高でした。寄付き前の外人は410万株の売り越しで、出来高は27.9億株と高水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラスに転換し、個別銘柄は、"買い"が有利な状況となりました。
12日の米国株式市場では、2月の小売売上高は前月比0.1%減と2カ月ぶりマイナスとなったものの、市場予想を上回り、前月分は上方修正されました。格下げが発表されたGEが、悪材料出尽くし感で急伸するなど、短期筋を中心に買い戻しの動きが広がりました。バンカメのCEOが、追加の公的資金注入に否定的な見解を述べたと伝わり、金融株への買も続きました。
13日の日本市場では、米市場が2月の小売売上高の底堅さや金融不安の後退を受けて大幅に続伸したことから、東京株式市場でも投資心理が改善し、円安も重なり、電機や自動車、銀行などの主力株を中心に買い戻されました。麻生首相が13日午前、与党幹部に経済対策の検討を指示したと伝わり、政府の追加経済対策への期待も改めて高まり、日経平均は大幅高となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、上昇し、75日線の下に在りますが、25日線、9日線を抜きましたので、短期トレンドは"青信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-33.1%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率も-28.2%とマイナス幅が縮小しました。3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.8ポイント下回るレベルとなり、割安度は縮小しました。
NY Dowは、12日は上昇し、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在ります。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線の下にありますが、9日線の上に在りますので、米国市場の短期トレンドは、"黄信号"です。中期トレンドは、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.7ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、今月末の政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きが市場の懸念材料です。中国の追加景気対策が明らかになりましたが、好材料として持続できていません。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策は、まだ市場評価を得たとは言えないようで、金融不安の払拭には至っていませんが、最近の米大手銀行の業績好転報道やFRB議長の会計制度見直し発言は一旦市場の評価を得たようですが持続するかどうかを見る必要が有りそうです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、12日も上昇しました。(3月の安値1.02ルに対して現在1.67ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-88.1%で、予想PERは71.9、PBRは0.85となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、円安と米国市場ので大幅上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-0.3%(30円の割安)となり割安幅が若干拡大しました。プレミアム値はここ1週間は-170~+190の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線の下に在り、9日線を抜きましたので、短期的には"黄信号"となりました。円安と米市場高により日経平均は大幅上昇し25日線を抜きました。日本市場もとりあえずは、米国市場の今回の大手銀行の好材料を評価しているようですが、中期的には疑心暗鬼な面もあります。政府の追加経済対策が期末の金融機関の株価資産評価対策と考えると来週いっぱいは、基本強気で良い様に思います。
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