[市況]
26日のNY DowとNASDAQは下落しましたが、日経平均先物は昨日同値で寄り付き、後場中頃までは徐々に値を上げる展開となりました。その後はその水準で上下し、結局130円高で引けました。日経平均は110円高でした。寄付き前の外人は700万株の売り越しで、出来高は19.7億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が若干拡大し、個別銘柄は、まだ"売り"が有利な状況です。
26日の米国株式市場では、1月の耐久財受注額や週間の新規失業保険申請件数など米景気の低迷を示す経済指標の発表が続き、次第に売り優勢となりマイナスで終了しました。大幅な赤字決算を発表したGMの下げが目立ちましたが、国有化懸念の後退した金融株には買いが続き、午前中にはNY Dowが100ドル超上げる場面もありました。
27日の日本市場では、米市場安を嫌気した売りで前場は小安い場面がありましたが、政府の株価・景気対策への期待もあり売りは続きませんでした。米政府がシティグループの優先株を普通株に切り替える支援策で合意したとの報道をきっかけに、後場は金融システム不安が和らぐとの見方から買い戻しに動く向きもあり、日経平均はきょうの高値圏で引けました。
[テクニカル視点]
日経平均は、上昇し、75日線、25日線の下に在りますが、9日線を抜きましたので、短期トレンドは"黄信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-40.9%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率も-30.4%とマイナス幅が縮小しましたが、3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.9ポイント下回るレベルとなり、割安度は大幅に縮小しました。
NY Dowは、26日は下落し、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下にありますので、米国市場の短期トレンドは、"赤信号"です。中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.2ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、GMの4年連続の大幅な赤字の中、政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。景気対策法案は成立しましたが、保護主義的な動きの有無と効果がいつ見えるかが市場の懸念材料です。③については、オバマ政権の金融安定化策として、銀行に対するストレステストの実施やシティーの優先株の普通株への転換などの施策が一定の市場評価を得たようです。しかし、金融不安の払拭には至っていません。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、26日は若干下落しました。(2月の安値1.95ドルに対して現在246ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-87.7%で、予想PERは71.6、PBRは0.87となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落にも関わらず上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-0.2%(20円の割安)となり割安幅は大幅に縮小しました。プレミアム値はここ1週間は-390~+10の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。日経平均はなんとか9日平均線を上回わって終了しました。少しだけ、光明が見えてきましたが、今日の上げは月末の特殊要因との見方も有り、米国市場は相変わらず弱く、外人売りも止まりませんので、すっきりしません。戻りの勢いは弱いままです。目先は米国市場が年初来安値を下回るか否かにかかっているようです。
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