[市況]
10日のNY DowとNASDAQが大幅安、11日が小幅高だったことを受けて、日経平均先物は150円安で寄り付き、前場に90円安となる場面もありましたが、後場にかけて、290円安まで売られました。引け際に若干もどし、結局200円安で引けました。日経平均は240円安でした。寄付き前の外人は2650万株の売り越しで、出来高は19.2億株と低水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大し、個別銘柄は"売り"が有利な状況です。
11日の米国株式市場は、米金融安定化策への失望感から急落した翌日とあって、自律反発の買いが金融株を中心に入ったことや、米議会の上下両院が景気対策法案の修正で暫定合意したと報じられたことが、相場を支えました。一方、原油市場の下落でエネルギー株が売られ、ハイテク株は伸びなやみました。
12日の日本市場では、米金融安定化策の官民投資ファンドによる不良資産の買取りは、買取り価格決定の具体案が示されなかったことで、金融不安の長期化懸念が広がり、市場は改めて景気や企業業績悪化を嫌気した動きになり、ハイテクや自動車など主力株売りにつながりました。円の強含みの動きやアジア市場の下落も主力株売りに拍車をかけました。
[テクニカル視点]
日経平均は、下落し、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-44.6%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-31.3%とマイナス幅は拡大しました。3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.1ポイント下回るレベルとなり、割安度は拡大しました。
NY Dowは、上昇し、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが9日線の上にあります。Nasdaqは、一目均衡表の雲、9日線、75日線の下にありますが、かろうじて25日線の上にありますので、米国市場の短期トレンドは、"黄信号"です。中期トレンドは、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が2.9ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、オバマ政権に持ち越されていますが、2/17の改革案の提出期限が近づいてきましたので、再び材料視されそうです。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まらず、米上下院で景気対策法案がようやく一本化され可決へ向かいそうですが、保護主義的な法案になりそうなところが市場の懸念材料です。③については、オバマ政権の金融安定化策が官民共同投資ファンドである点と不良資産の買い取り価格の決定方法など具体的な仕組みが示されなかった点を、市場は評価していないようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、11日は上昇しました。(1月の安値2.8ドルに対して現在3.7ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-84.1%で、予想PERは55.3、PBRは0.88となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、ここ2日の米国安を折込んだ動きとなり値を下げました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-1.0%(90円の割安)となり割安幅が拡大しました。プレミアム値はここ1週間は-380~+130の範囲で動いています。日経平均は、割安方向に大きく乖離していましたが、修正されました。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。三角持合を下離れして、テクニカルには日米とも良くありませんが、乖離率からは目先は買っても良いレベルになりつつあります。しかし、1/26日の安値7671円を終値で割るようですと、10月安値6994円を目指す動きも考えざるを得ません。
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