[市況]
23日のNY DowとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は190円安く寄り付き、前場に240円安まで売られましたが、後場は上昇に転じ、結局90円安で引けました。日経平均は107円安でした。寄付き前の外人は710万株の売り越しで、出来高は20.2億株と低水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大し、個別銘柄は"売り"が有利な状況です。
23日の米国株式市場では、米金融監督当局がFRBと共同で米銀行システムを支援するとの声明を発表したことで、朝方は銀行中心に買い戻しが優勢となりましたが、世界的な景気悪化や、企業決算・業績見通しの不振が目立つことが改めて意識され、素材や、ハイテク株の一角に売りが優勢となり、AIGへの追加支援報道やS&P500が節目の750を下回ったことも市場心理を悪化させ、売りを加速させました。NY Dowは12年ぶりの安値となりました。
24日の日本市場では、米市場下落の流れを引き継ぎ、前場中ごろには昨年10月27日に付けたバブル崩壊後の安値7162円を下回る場面がありましたが、与謝野財務・金融・経済財政相が株価対策の必要性に言及したことで、売りは続かず、円が95円台に下落したため、後場は輸出関連株の一部に買いが増え、日経平均は下げ渋って終えました。
[テクニカル視点]
日経平均は、下落し、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-53.2%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-33.8%とマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.7ポイント下回るレベルとなり、割安度は縮小しました。
NY Dowは、23日は下落し、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqも、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下にありますので、米国市場の短期トレンドは、"赤信号"です。中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの急激な悪化で、日本市場が4.4ポイント割高となっています。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、GMとクライスラーの改革案が提出されましたので、今後は破産法11条適用など中身の議論となりそうですが、政府の対応が注目されます、収束するか否かは不透明です。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、景気対策法案はようやく可決され大統領もサインし成立しましたが、保護主義的な動きの有無が市場の懸念材料です。③については、オバマ政権の金融安定化策が官民共同投資ファンドである点と不良資産の買い取り価格の決定方法など具体的な仕組みが示されなかった点を、市場は評価せず、一足飛びに、銀行の国有化議論になってきたようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、23日は上昇しました。(2月の安値1.951ドルに対して現在2.14ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-87.3%で、予想PERは66.5、PBRは0.84となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、円安で米国市場の下落率ほどは下げませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-0.6%(60円の割安)となり割安幅は変わりませんでした。プレミアム値はここ1週間は-240~+20の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、一目均衡表の雲、75日線、25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。日経平均は昨年10月の安値を一時割りましたが少し戻しました。米国市場が下げ止まらない限り日経平均も下落せざるを得ませんが、サイコロジカルライン、総合乖離率や25日乖離率、日柄的にも、いつ反転しても良いレベルに達していますので、新たな悪材料が出てセリングクライマックスを迎えるか又は、米政府による米金融機関支援に著しい進展があれば近く反転が有りそうです。
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