[市況]
29日、NYDowとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、30日の日経平均先物は、前日比260円高で寄り付き前場に230円高まで下げる場面もありましたが、その後は堅調な動きとなり、最終的に350円高で引けました。日経平均は334円高で引け、寄り付き前の外国人は1000万株の買い越しで、出来高は25.2億株と、比較的に高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小し、個別銘柄に関しては、売り買いが拮抗している状態です。
29日の米国市場では、1-3月期のGDP速報値は前期比年率6.1%減と市場予想の4.6%減以上に悪化しましたが、個人消費が2.2%増と3四半期ぶりにプラス転換となったことが好感されたようです。主要企業の決算が市場予想を上回ったうえ、一部アナリストが米銀の投資判断を引き上げたことも支援材料となりました。FOMCで実質ゼロ金利政策の維持を決定。声明で景気悪化ペースが鈍化したと指摘されましたが、市場への影響は限定的でした。
30日の日本市場では、米市場高や円の下落を好感し、輸出関連の主力株を中心に買われました。3月の鉱工業生産指数が半年ぶりに上昇したことを景気底入れの兆しと受け止める見方も広がり、幅広い銘柄が上昇しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日線の上にあり、9日線と25日線を上回りましたので、短期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。一方、日経平均の総合乖離率は+1.7%とプラス転換し、200日線との乖離率は-8.8%とマイナス幅が縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つの要素中、マイナスは1つですので、中期的トレンドには、黄信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.5ポイント下にある状態となり、日本市場の割安幅は縮小しました。
NYDowは75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQも、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、現在は日本市場が7.3ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、政府による承認はクライスラーは4月末、GMは5月末に延期されましたが、GMが追加再建計画を示し市場は一旦評価しました。クライスラーは破綻懸念も報道されています。2つめについては、米国の雇用状況には改善の兆しは見られないものの、経済指標はまちまちで過度な楽観論はなくなりつつあるようです。3つめに関してはFRBがシティグループやバンカメに資本増強を要請すると報じられ、5月4日の発表が重要性を増しました。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せておらず、輸出や雇用は改善の兆しがありません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、金融機関の不良債権を増加させ、損失拡大懸念をもたらし、企業の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は29日、上昇しました。(3月安値1.02ドルに対し、現在3.12ドル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、3月決算発表中につき、予想PERは計算不能となりました。PBRは0.98となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安もあり、米国市場の上昇率以上に上げました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%(20円の割安)となっており、日経平均は、割安幅が若干減少しました。プレミアム値は、ここ1週間、-140円~+260円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在り、9日線を上回りました。短期的には、黄信号から青信号に変わりました。
予想に反して、日経平均は25日線と9日線を上回ってきました。NYDow,Nasdaq,ドル換算日経平均はまだ25日線を割れていませんでしたので、下離れ予想は早計でした。とはいえ、このまま反転上昇するかどうかは微妙です。やはり、5月4日のストレステスト内容発表後の金融不安状況と豚インフルエンザ問題、クライスラー再建問題などを見極める必要がありそうです。明日は連休を控えポジション縮小の動きで、弱含みが予想されます。
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