[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は週初に金融不安で売られた後は、経済指標や決算を評価して戻しましたが7週ぶりに下落しました。今週は、1-3月のGDP発表、FOMC開催やクライスラー再建計画の期限など波乱要因が多そうです。一方、中長期的には、世界同時不況と、不動産価格の下げ傾向は今後も続くと思われます。ただ、ヘッジファンドの売り圧力は、一旦は峠を越えたようです。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は7.3ポイント割高となりました。先週と比べ割高度が0.1ポイント拡大しました。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは予想利益がマイナスとなり計算不能となりました。S&P500のPERが14.9と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ることが割高の原因です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週は金融機関の不良債権増加懸念が出て揉み合いとなりましたが、今週は踊り場となりそうです。
②決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%の減益予想から欠損予想に大きく悪化しました。先週も、悪化しました。
③長期金利は上昇傾向で、日米の金利差は1.4-1.6%と拡大ぎみで、為替は99-97円台と円高方向に変化しました。今週は、99-96円台が想定されます。
④今年3月末に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-6.6%となり、米国は-4.0%になりましたので、この面では日本市場にとって2.6ポイント弱気材料となりました。
⑤外人は4月3週は小幅売り越しでした。4月4週は売り越しだったようです。今週も売り越し傾向が続くと思われます。
5つのポイントのうち先週は①③が弱気材料でした。今週も①と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、5.7ポイント割安となり、先週比3.0ポイント割安に変化しました。一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は-10.6%となり先週と比較してマイナス幅は0.9ポイント拡大し、総合乖離率は-2.8%となりマイナス転換しました。1つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線の上に在りますが、9日線の下に在りますので短期的には"黄信号"ですが、25日線との乖離率は0.4%に縮小し警戒感はなり逆に下回るリスクがでてきました。
米国市場ではNY Dowは25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqも一目均衡表の雲と25日線、9日線の上に在りますので、短期的には"青信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週も週初に調整した後、後半もち直しました。その結果、米株価指数の25日線との乖離率が、日経平均よりも広がりましたので、週初は日経平均の2%程度の上昇が期待できそうです。今週からは日本企業の3月決算発表が本格的になりますので個別銘柄は一喜一憂することが予想され、グライスラー問題が波乱要因となることが考えられます。ボリンジャー・バンドも狭まってきましたので、そろそろ9100-8700のレンジをどちらかに抜けそうですが、その時期は、今週は連休を控え動きにくい面もありますので、ストレステストの結果が見えてくる連休明けの可能性が高いように思われます。
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