[市況]
22日、NYDowは下落しNASDAQは小幅上昇したことを受けて、23日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付き前場に110円安まで下落する場面もありましたが、後場は上昇に転じ、最終的に80円高で引けました。日経平均は119円高で引け、寄り付き前の外国人は10万株の売り越しで、出来高は24.2億株と、減少しました。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しましたが、個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
22日の米国市場では、朝方発表の1-3月期決算が赤字となったモルガン・スタンレーや引当金が増加して予想を下回る決算を発表したクレジットカードのキャピタル・ワンなどをはじめ金融株が売られました。一方、2月の住宅価格指数が2カ月連続で上昇し、住宅価格底入れが意識されたことは支援材料となりました。また、ハイテク株は上昇する銘柄が目立ちNasdaqは小幅上昇で終えました。
23日の日本市場では、前場に売られたものの25日移動平均線(8600円)を割り込まなかったため、調整一巡感が広がったようです。投信販売が好調と伝わったこともあり、輸出関連の主力株が買われました。ただ、来週から本格化する主要企業の決算発表を前に買いづらい面もあり、出来高は限定的でした。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、75日線の上にあり、9日線を上回りましたので、短期トレンドは黄信号から青信号となりました。一方、日経平均の総合乖離率は+2.1%とプラス転換し、200日線との乖離率は-9.4%とマイナス幅が縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つの要素中、マイナスは1つとなりましたので、中期的トレンドには、黄信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.6ポイント下にある状態となり、日本市場の割安幅は縮小しました。
NYDowは75日線、25日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線の下に在ります。NASDAQも、75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、現在は日本市場が7.4ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMとクライスラーの改革案は不十分で、政府による承認はクライスラーは4月末、GMは5月末に延期されましたが、米政府がGMに対し連邦破産法の適用を申請する準備に取りかかるよう指示との報道がありました。2つめについては、米国の雇用状況には改善の兆しは見られないものの、経済指標はまちまちで過度な楽観論はなくなりつつあるようです。3つめに関しては「近くストレステストの一部公表」と報じられ厳しい結果との警戒感も出てきたようですが、ガイトナー長官は「大部分の銀行は必要以上の資本を備えている」と述べるなど強弱両方の材料が市場に影響を与えています。金融機関の決算発表は一段落したようです。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せていません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、企業の資金調達への悪影響や、銀行の損失拡大懸念をもたらしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は22日、上昇しました(3月安値1.02ドルに対し、現在3.25ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、今期予想増益率が-96.1%予想PERが228.3、PBRが0.99となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場が冴えない動きだったにも関わらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.5%(210円の割高)となっており、日経平均は、割高幅を拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-130円~+260円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在り、9日線を上回りました。短期的には、黄信号から青信号となりました。
日経平均は25日線がサポートラインとして機能して、今日も9100円-8700円のレンジ内で終わりました。25日線との乖離率は2.5%となりました、9日線を上回ってきましたので、下落懸念は多少緩和したようですが、GM問題やストレステストの結果がはっきりするまでは、引き続き、ボックス内の動きが予想されます。
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