[市況]
9日、NYDowとNASDAQが大幅上昇したことを受け、10日の日経平均先物は、前日比160円高で寄り付きましたが、その後は終日利益確定売りに押されて、最終的に40円高で引けました。日経平均は48円高で引け、寄り付き前の外国人は540万株の買い越しで、出来高は26.0億株と、増加しました。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
9日の米国市場では、アルコアの決算は赤字となるなど厳しい内容だったものの、公的支援の対象に加わるとの報道を受け生命保険株が上昇し、住宅株、小売株の一角も上げ、個別に好材料の出た銘柄中心に買いが入りました。FOMC議事要旨でFRBの米景気に対する厳しい見方が明らかになり、午後に売られる場面もありました。
10日の日本市場では、朝方は米市場の大幅上昇を受けて高く始まったものの、米財務省が銀行にストレステストについての言及を避けるようにと要請したとのロイター通信の報道の影響もあり、最近の急ピッチな上昇への警戒感から上値では利益確定売りが重しになりました。しかし、大きく売り込まれることもありませんでした。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線、75日線の上にありますので、短期トレンドは青信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+10.4%とプラス幅が拡大し、200日線との乖離率は-10.3%とマイナス幅が縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つの要素中、マイナスは1つとなりましたので、中期的トレンドには、黄信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.3ポイント下にある状態となり、日本市場は割安となりました。
NYDowは、9日線、25日線、75日線の上に在り、一目均衡表の雲を上回りました。NASDAQは、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号です。中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、長らく日本市場が割安であることを示していましたが、このところ日本企業のPERが急激に悪化しているため、現在は日本市場が4.0ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMとクライスラーの改革案は不十分で、政府による承認はクライスラーは4月末、GMは5月末に延期されましたが、そろそろ対応案がニュースになりそうです。2つめについては、米国の雇用状況には改善の兆しは見られないものの、景気の改善を示す経済指標が多く出始め楽観論が出てきました。3つめに関しては「ストレステストに米金融19行がすべて合格する」と報じられ米国市場は評価したようですが、時価会計の緩和措置の影響だとすると、何時までも不良債権が償却できないと言う、素直には喜べない面もありそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せていません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、企業の資金調達への悪影響や、銀行の損失拡大懸念をもたらしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は9日、上昇しました(3月安値1.02ドルに対し、現在3.04ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、今期予想増益率が-94.3%、予想PERが177.3、PBRが1.01となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率ほどは上昇しませんでした。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.0%(0円割高)となっており、日経平均は、ニュートラルとなりました。プレミアム値は、ここ1週間、-110円~+270円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は25日線の上にあり、一目均衡表の雲の上に抜け、75日線、9日線を上回りました。短期的には、青信号です。日経平均は昨日に前夜のNYDowの上昇を織り込んでいましたのでその分上昇しませんでした。しかし、日経平均はザラバでは9000円を超えましたので、上昇トレンド確認となりましたが、終値では抜けませんでしたので、スッキリはしていません。25日線との乖離率は10.0%で、利益確定売りが出やすい水準にも変化はありません。このレンジでのもみ合いはまだ脱したとは言えないようです。
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