[市況]
16日、NYDowとNASDAQが上昇したことを受けて、17日の日経平均先物は、前日比170円高で寄り付き前場は220円高まで上昇する場面もありましたが、後場は100円高まで売られ、最終的に190円高で引けました。日経平均は152円高で引け、寄り付き前の外国人は140万株の売り越しで、出来高は25.3億株と、高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
16日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数は前週比5万3000件減の61万件と1月下旬以来の水準に減少しました。JPモルガン・チェースが発表した1-3月期決算が市場予想を上回ったほか、携帯電話機器大手のノキア首脳が製品市場に明るい兆しがあると指摘したことで半導体関連を中心にハイテク株が上昇しました。
17日の日本市場では、米株式相場の上昇が追い風となり、電機や電子部品株を中心に幅広い銘柄に買いが入る要因となりました。しかし、9000円に近づくと目先の利益を確定する売りも広がり、薄らいだとはいえ米金融システムへの警戒感もあり、積極的に買い上げる雰囲気は乏しかったようです。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、75日線の上にあり、9日線を上回りましたので、短期トレンドは黄信号から青信号となりました。一方、日経平均の総合乖離率は+5.2%とプラス幅が拡大し、200日線との乖離率は-9.7%とマイナス幅が縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つの要素中、マイナスは1つとなりましたので、中期的トレンドには、黄信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.3ポイント下にある状態となり、日本市場は割安幅が拡大しました。
NYDowは75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQも、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号で、中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、現在は日本市場が7.5ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMとクライスラーの改革案は不十分で、政府による承認はクライスラーは4月末、GMは5月末に延期されましたが、米政府がGMに対し連邦破産法の適用を申請する準備に取りかかるよう指示との報道がありました。2つめについては、米国の雇用状況には改善の兆しは見られないものの、経済指標はまちまちで過度な楽観論はなくなりつつあるようです。3つめに関しては「近くストレステストの一部公表」と報じられ警戒感も出てきたようです。時価会計の緩和措置の影響も確認したいところです。金融機関の決算発表も内容次第で影響がありそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せていません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、企業の資金調達への悪影響や、銀行の損失拡大懸念をもたらしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は16日、下落しました(3月安値1.02ドルに対し、現在3.65ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、今期予想増益率が-94.6%予想PERが186.1、PBRが1.0となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率ほぼ同程度上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%(20円の割安)となっており、日経平均は、割安度が縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-170円~+230円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は75日線、25日線、9日線の上にあり、一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には、青信号が点灯しています。
ここ数日、日経平均は9100円-8700円のレンジで動いています。25日線との乖離率は5.0%となり、この面の警戒感はなくなりました。また、日経平均は9日線を上回ってきましたので、テクニカルにはニュートラルな状態となりました。市場はGE問題やストレステストの結果がはっきりするまでは、9100円-8700円のレンジ内の動きとなりそうです。
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