[市況]
15日、NYDowとNASDAQが上昇したことを受けて、16日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付き前場は350円高まで上昇する場面もありましたが、後場は一転して売られ、最終的に10円高で引けました。日経平均は12円高で引け、寄り付き前の外国人は1930万株の売り越しで、出来高は26.0億株と、低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
15日の米国市場では、前日に大きく下げたJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスが反発し、増配を発表したプロクター・アンド・ギャンブルも上昇して、NYDowを押し上げました。 一方、インテルが2%超下げたため、ハイテク株の一角は下落しました。経済指標は4月の住宅市場指数やニューヨーク連銀景気指数が改善した一方、3月の鉱工業生産指数が低迷するなど、まちまちでした。
16日の日本市場では、米市場高も追い風に、前場中ごろには9000円台に乗せるなど堅調な展開でしたが、中国の1-3月期のGDPが前年同期比6.1%増にとどまったことで、中国景気に対する楽観論が後退したようです。主力株の一角が下げに転じて終えました。ただ、アジア市場が落ち着いて推移していたことや、NECエレとルネサステクノロジの経営統合報道を受けたハイテク業界の再編期待などが下支え要因となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、75日線の上にありますが、9日線を下回っていますので、短期トレンドは黄信号です。一方、日経平均の総合乖離率は+0.6%とプラス幅が縮小し、200日線との乖離率は-11.5%とマイナス幅が縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つの要素中、マイナスは1つとなりましたので、中期的トレンドには、黄信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.5ポイント下にある状態となり、日本市場は割安幅が縮小しました。
NYDowは、25日線、75日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在り、9日線を上回りました。NASDAQは、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号に戻りました。中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、現在は日本市場が7.5ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMとクライスラーの改革案は不十分で、政府による承認はクライスラーは4月末、GMは5月末に延期されましたが、米政府がGMに対し連邦破産法の適用を申請する準備に取りかかるよう指示との報道がありました。2つめについては、米国の雇用状況には改善の兆しは見られないものの、経済指標はまちまちで過度な楽観論はなくなりつつあるようです。3つめに関しては「近くストレステストの一部公表」と報じられ警戒感も出てきたようです。時価会計の緩和措置の影響も確認したいところです。金融機関の決算発表も内容次第で影響がありそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せていません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、企業の資金調達への悪影響や、銀行の損失拡大懸念をもたらしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は15日、若干下落しました(3月安値1.02ドルに対し、現在3.97ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、今期予想増益率が-94.5%予想PERが182.3、PBRが0.98となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、行って来いの形となり、米国市場の上昇率ほどは上げませんでした。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%(70円の割安)となっており、日経平均は、若干割安に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-170円~+230円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は75日線、25日線、9日線の上にあり、一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には、まだ青信号が点灯しています。
ここ数日、日経平均は一服しています。25日線との乖離率は4.0%となり、この面の警戒感はなくなりましたが、日経平均が9日線を下回ってきましたので、テクニカルにはこちらが要注意です。9100円の壁は厚く、引き続き、9100円-8700円のレンジを下に抜ける可能性が高そうです。
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