[市況]
14日、NYDowとNASDAQが下落したことを受けて、15日の日経平均先物は、前日比80円安で寄り付きましたが、後場中頃にかけて170円安まで売られましたが、その後戻し、最終的に110円安で引けました。日経平均は99円安で引け、寄り付き前の外国人は650万株の売り越しで、出来高は23.3億株と、低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
14日の米国市場では、3月の小売売上高が前月比1.1%減と、市場予想の0.3%増に反して減少したことで、米消費関連株などが売られました。市場予想を上回る決算を発表したゴールドマン・サックスも事前に好決算期待で急伸していた反動で売られ、金融株も下げる銘柄が目立ちました。オバマ米大統領の「米経済は前進の兆しが生まれつつある」との演説やバーナンキFRB議長の講演も相場への影響は限られました。
15日の日本市場では、3月の米小売売上高が減少が嫌気され、主力の輸出関連株を中心に売りが広がりました。米金融機関に対するストレステストの結果を一部公表との報道に警戒感もでたようです。さらに、円がここ2週間の円高水準である98円台前半まで上昇したことも売り要因となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、75日線の上にありますが、9日線を下回りましたので、短期トレンドは青信号から黄信号になりました。一方、日経平均の総合乖離率は+0.7%とプラス幅が縮小し、200日線との乖離率は-11.8%とマイナス幅が拡大しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つの要素中、マイナスは1つとなりましたので、中期的トレンドには、黄信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.6ポイント下にある状態となり、日本市場は割安幅が縮小しました。
NYDowは、25日線、75日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在りますが9日線を下回りました。NASDAQは、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号となりました。中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、現在は日本市場が7.5ポイント割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMとクライスラーの改革案は不十分で、政府による承認はクライスラーは4月末、GMは5月末に延期されましたが、米政府がGMに対し連邦破産法の適用を申請する準備に取りかかるよう指示との報道がありました。2つめについては、米国の雇用状況には改善の兆しは見られないものの、景気の改善を示す経済指標が多く出始め楽観論が出てきました。3つめに関しては「ストレステストに米金融19行がすべて合格する」と報じられ米国市場は評価したようですが、時価会計の緩和措置の影響だとすると、何時までも不良債権が償却できないと言う、素直には喜べない面もありそうです。ゴールドマン・サックスは好決算だったものの材料出尽くし感で売られました。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せていません。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、企業の資金調達への悪影響や、銀行の損失拡大懸念をもたらしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は13日、上昇しました(3月安値1.02ドルに対し、現在4.01ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、今期予想増益率が-94.5%予想PERが179.4、PBRが0.99となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円高にも関わらず、米国市場の下落率ほどは下落しませんでした。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%(50円の割高)となっており、日経平均は、若干割高に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-170円~+270円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は75日線、25日線、9日線の上にあり、一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には、まだ青信号が点灯しています。
ここ数日、日経平均は一服しています。25日線との乖離率は4.6%となり、個の面の警戒感はなくなりましたが、NYDowと日経平均が9日線を下回ってきましたので、テクニカルにはこちらが要注意となってきました。目先は自立反発もありそうですが、今日の下げで、9100円-8700円のレンジを下に抜ける可能性がさらに高くなったようです。
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