[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場はゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融大手が金利や商品など市場取引の好調を背景に予想を上回る決算を発表したことが相場を支え6週連続で上昇しました。今週も、企業の第一四半期決算発表や経済指標の内容次第で波乱もありそうです。一方、中長期的には、世界同時不況と、不動産価格の下げ傾向は今後も続くと思われます。ただ、ヘッジファンドの売り圧力は、一旦は峠を越えたようです。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は7.2ポイント割高となりました。先週と比べ変化はありません。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは186.1でS&P500のPERが14.7と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ることが割高の原因です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週も金融機関の予想以上の決算で上昇しましたが、今週も上昇基調のもみ合いとなりそうです。
②決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%から-94.6%の減益予想に大きく悪化しました。先週も、悪化しました。
③長期金利は上昇傾向で、日米の金利差は1.4-1.5%と拡大ぎみで、為替は101-99円台と円高方向に変化しました。今週は、97-100円台が想定されます。
④今年3月末に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-6.6%となり、米国は-4.0%になりましたので、この面では日本市場にとって2.6ポイント弱気材料となりました。
⑤外人は4月2週は買い越しでした。4月3週は売り越しだったようです。今週も売り越し傾向が続くと思われます。
5つのポイントのうち先週は①が強気材料で③⑤が弱気材料でした。今週も①⑤と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、2.7ポイント割安となり、先週比1.4ポイント割安に変化しました。一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は-9.7%となり先週と比較してマイナス幅は0.6ポイント縮小し、総合乖離率は+5.2%となりプラス幅が5.2ポイント縮小しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在りますので短期的には"青信号"ですが、25日線との乖離率は5.0%とだいぶ、縮小し警戒感は小さくなりました。
米国市場ではNY Dowは25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と25日線、9日線の上に在りますので、短期的には"青信号"ですが中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週は週初に調整した後、後半もち直しました。調整幅は限定的で小動きでした。その結果、日米とも25日線との乖離率が、25日線の上昇もあって5%前後と大分縮小しました。9100-8700のレンジ内の動きのままで上昇中の25日線に接近すると、リバウンドの可能性も出てきそうです。今週も続く米国企業の決算発表やGM問題が波乱要因となることも考えられます。日経平均は、昨年の同時期の楽観的な動きに似ているように思われます。
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