[市況]
13日のNY DowはとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、14日の日経平均先物は、前日比200円高で寄り付き、前場に130円高まで上昇幅を縮めましたが、後場初めにかけて260円高まで戻しました。その後は軟調な展開となり、最終的に前日比210円高で終わりました。日経平均は211円高で引け、出来高は22.3億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は790万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、売りが有利な状態です。
13日の米国市場では、午前中に原油が下げ幅を広げると、エネルギー株が売られ株式指数は低く推移する場面もありましたが、著名アナリストがゴールドマン・サックスの投資判断を引き上げたと伝わったことで、14日から発表が本格化する企業の四半期決算全般に対する期待が高まり、金融株中心に相場全体を押し上げました。
14日の日本市場では、米市場が大幅上昇したことで投資家心理が改善し、アジア市場が堅調だったことから日経平均は10日ぶりに自律反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは赤信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は-0.2%とマイナス幅が縮小しました。200日線との乖離率は+4.7%とプラス幅が拡大しました。一目均衡表では雲の中に在ります。1つだけがプラスですので、中期的トレンドは、黄信号が点灯しています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.5ポイント下にある状態となり、日本市場は割安幅が縮小しました。
NY Dowは200日線、25日線の下に在ますが75日線、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線、75日線の上に在りますが、25日線の下にあり、9日線を上回り、一目均衡の雲の上に出ました。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、GDP伸び率が改訂され、現在は日本市場が0.9イント割高となっています。
市場は現在、「実体経済の見通し」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、米国の6月雇用統計では失業率が9.5%に拡大し、減少幅も予想以上となり相場の重しとなっています。住宅関連指標や他の景気指標はこのところ悪材料に敏感です。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、金融機関の不良債権が実質的に減少するがどうかは不透明です。4-6月決算発表が近づきましたので金融機関の決算での不良債権の大きさに注目する必要があります。世界的な商品・株式市場の低迷で、米国債が買われています。その為に長期金利が低下しドル安・円高傾向となっています。
一方、中長期的に見ると、世界景気は減速の勢いは緩和されたものの、改善の気配を未だ見せておらず、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる不動産価格の下落から、金融機関の不良債権増加懸念を払しょく出来ず、個人消費や企業の投資の為の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は13日、上昇しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在2.78ドル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは37.8となりました。PBRは1.2となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowの上昇に連動して上げました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.9%(90円の割安)となっており、日経平均のプレミアムはマイナス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-170円~+360円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、75日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線、25日線の下に在ります。プレミアムはマイナスとなり、ここ一週間の下限を下回りましたので、NY Dowの動きより下振れする傾向が持続しそうです。
節目の9000円に接近し、且つ、25日線との乖離率やサイコロジカルラインなどが売られ過ぎを示していましたので、反発しても良い水準でした。しかし、まだ赤信号が点灯していますので、今日の上昇は綾戻しと考えた方がよさそうです。今夜から始まる米金融機関の4-6月決算発表で方向感がより明確になるものと思われます。
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