[市況]
9日のNY DowとNASDAQが小幅上昇したことを受けて、10日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付き、前場に60円高まで上げる場面もありましたが、その後は軟調な展開となり、最終的に前日比60円安で終わりました。日経平均は3円安で引け、出来高は20.6億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は170万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、売りが有利な状態ですがボトムアウト感があります。
9日の米国市場では、原油が60ドルを挟んでほぼ終日、もみ合ったため、株式市場もこれに連動して上下を繰り返しました。決算を発表したアルコアが下落してNY Dowの上値を抑えた反面、来週以降に予定されている金融機関の決算発表に対する警戒感がやや後退し、金融株は堅調でした。午後に原油相場がいったん下げ止まったことを好感し、株価指数は上げて終えました。
10日の日本市場では、米国を中心とした世界景気の先行きに対する警戒感が強く、買い手控えムードが出ました。GSユアサや明電舎など個人投資家が手掛けていた材料株への見切り売りも出て、日経平均は1年ぶりに8日続落となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日線まで下げ、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは赤信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は-0.0%とゼロとなり、200日線との乖離率は+4.7%とプラス幅が若干拡大しました。一目均衡表では雲の中に在ります。1つだけがプラスですので、中期的トレンドは、青信号から黄信号に変化しました。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.9ポイント下にある状態となり、日本市場は割安幅が拡大しました。
NY Dowは200日線、75日線25日線、9日線の下に在ます。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線、75日線の上に在りますが、9日線、25日線の下にあり、一目均衡の雲の中に入りました。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、GDP伸び率が改訂され、現在は日本市場が0.7イント割高となっています。
市場は現在、「実体経済の見通し」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、米国の6月雇用統計では失業率が9.5%に拡大し、減少幅も予想以上となり相場の重しとなっています。住宅関連指標や他の景気指標はこのところ悪材料に敏感です。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、金融機関の不良債権が実質的に減少するがどうかは不透明です。4-6月決算発表が近づきましたので金融機関の決算での不良債権の大きさに注目する必要があります。世界的な商品・株式市場の低迷で、米国債の入札は好調に推移している為に、長期金利が低下しドル安・円高傾向となっています。
一方、中長期的に見ると、世界景気は減速の勢いは緩和されたものの、改善の気配を未だ見せておらず、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる不動産価格の下落から、金融機関の不良債権増加懸念を払しょく出来ず、個人消費や企業の投資の為の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は9日、上昇しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在2.69ドル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは38.9となりました。PBRは1.2となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowが上昇したにも関わらず若干下げました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.6%(140円の割高)となっており、日経平均のプレミアムはプラス幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間は、+140円~+360円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、75日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線、25日線の下に在ります。プレミアムのプラス幅がここ一週間の下限を下回りましたので、NY Dowの動きより下振れする傾向が持続しそうです。
下値目安の75日線まで下落し、且つ、25日線との乖離率やサイコロジカルラインなどが売られ過ぎを示していますので、目先反発余地が出てきました。しかし、今日のところは、都議選を控え、反発しきれませんでした。一方で、米国市場が大きく下げるようであれば、次の節目の9000円近辺までの下落も想定する必要がありそうです。
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