[ファンダメンタルの現状認識]
中長期的には、世界的な雇用の悪化と不動産価格の下げによる信用収縮傾向は今後も続く可能性が大と思われます。
そのような環境の中、先週の米国市場は雇用統計の悪化が尾を引き下落しました。今週は、金融機関を中心に4-6月期決算発表が注目されそうです。
2009年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDのGDP予想値が改訂され日本市場が0.9ポイント割高に変化しました。先週と比べ割高度は0.3ポイント拡大しました。3月度決算発表がほぼ終了し、日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは38.9となりました。S&P500のPERの15.1と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ることが割高の原因です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場はNY Dowが75日線を下回リ、調整は長引きそうな気配です。今週も4-6月期決算発表がやまを超えるまでは様子見気分となりそうです。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.1%となっています。
③長期金利は低下傾向で、日米の金利差は2.0%に縮小し、為替は95-91円台と急激な円高となりました。今週も、93-90円台と円高方向が想定されます。
④今年6月に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%となり、米国は-0.9%になりましたので、この面では米国市場にとって0.8ポイント分の弱気材料となりました。
⑤外人は7月1週は買い越しでした。7月2週は売り越しだった可能性が高く、今週も売り越し傾向が予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③が弱気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、2.4ポイント割高となり、先週比3.5ポイント割安方向に動きました。一目均衡表では、雲の中に在り、200日移動平均線乖離率は+4.7%となり先週と比較してプラス幅は5.1ポイント縮小し、総合乖離率は+0.0%となりプラス幅が縮小しました。1つだけプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在り、短期的には"赤信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の下に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線の上に在ますが、25日線、9日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
日経平均は個人投資家が投げたようで米国市場より大きく下落しました。NY Dowの調整も長引きそうです。今週から4-6月決算が始まり米金融機関の不良債権問題が再燃する可能性があります、そうなれば、さらに下振れの可能性が高まります。しかしオシレータ系のテクニカル指標に底値を示唆するものが出てきましたので、特別な悪材料がでなければ、損ね揉み合いが予想されます。
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