[ファンダメンタルの現状認識]
中長期的には、世界的な雇用の悪化と不動産価格の下げによる信用収縮傾向は今後も続く可能性が大と思われます。
そのような環境の中、先週の米国市場は4-6月期決算が予想よりも好調で上昇しました。今週も、4-6月期決算発表が注目されそうです。
2009年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDのGDP予想値が改訂され日本市場が0.6ポイント割高に変化しました。先週と比べ割高度は0.3ポイント縮小しました。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは39.3となりました。S&P500のPERの16.1と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ることが割高の原因です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は4-6月期決算発表が予想以上となり急回復しました。今週は週初は利食い売りが出やすいと思われますが、4-6月期決算発表次第で振れそうです。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.1%となっています。
③長期金利は低下拡大で、日米の金利差は2.3%に拡大し、為替は92--94円台と円安となりました。今週も、92-94円台が想定されます。
④今年6月に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%となり、米国は-0.9%になりましたので、この面では米国市場にとって0.8ポイント分の弱気材料となりました。
⑤外人は7月2週は売り越しでした。7月3週は買い越しだった可能性が高く、今週も買い越し傾向が予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③⑤が強気材料でした。今週も①③がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、8.0ポイント割安となり、先週比5.6ポイント割安方向に動きました。一目均衡表では、雲の中に在り、200日移動平均線乖離率は+6.7%となり先週と比較してプラス幅は2.0ポイント拡大し、総合乖離率は+5.1%となりプラス幅が拡大しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在り、短期的には"黄信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在り一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線、25日線、9日線の上に在ますで、短期的には"青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場の調整は短期間で終了しそうな勢いですが、日経平均は政治の混迷と信用買い残がまだ高水準な点が重しとなり、米国市場の戻りには及びません。今週は米国市場ではFRB議長の金融政策レポートや住宅関連指標の発表もあり、内容次第では軟調な展開も予想されます。日経平均は、基本的には、今週も上値の重い展開が予想されます。ただ、9500円を大きく抜いてくる展開があれば、10000円復帰も考えられます。
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