[市況]
29のNYSEとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日比690円安で寄り付きましたが、直ぐに上昇に転じ、後場に310円安まで上昇しましたが、その後は下落に転じ、結局460円安で引けました。寄付き前の外人は2960万株の大幅売り越しとなり、出来高は22.7億株と低水準ながら増加しまいたが、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅を大幅に広げ、個別銘柄は"売り"が有利な状況です。
29日の米国株式市場では、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグの金融大手フォルティスに3カ国が資本を注入すると発表したほか、英政府は中堅銀行のB&Bを一時国有化することを明らかにした。金融市場の混乱の欧州へ波及により朝方から売りが優勢だった上に、下院が金融安定化法案を否決したと伝わり、失望売りがでてNY Dowは過去最高の下げとなりました。
30日の日本市場は、NY Dowが過去最大の下げ幅を記録したことから、円も急伸し、見切り売りがでてほぼ全面安となりました。世界的な連鎖株安を受け、主要国による協調利下期待などから、後場は先物への買い戻し主導で下げ渋りましたがったが、鉱工業生産指数速報が景気後退を示唆する内容だったこともあり、買いの勢いは続きませんでした。
[テクニカル視点]
日経平均は下落し、75日線、25日線、9日線の下に在り、年初来安値を更新し、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-37.8%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-16.4%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は1.7ポイントと変化はありませんが、市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ています。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.4ポイント上回わるレベルとなり、割高に転換しました。
NY Dowは、大幅下落し、75日線、25日線、、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。Nasdaqも、75日線、25日線の下に在り、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。米国市場の短期トレンドは"赤信号"となり、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国では金融安定化法案が下院で否決され、金融システム不安対応はもたつきが続いています。今後、たとえ成立しても、中長期的に見ると、世界景気の減速懸念は払拭されておらず、加えて、不動産価格は下げ止まったとは言えず、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうですので、先安感はなかなか払拭できません。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。市場の関心は10月中旬の欧米主要銀行の決算に移ると思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、29日は大幅下落しました。(9月安値14.0ドルに対して現在17.8ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-7.9%で、予想PERは13.8となりました。
[今後の見通し]
日本市場のあっさり年初来安値を更新してしまいましたが、下落率は米国より小さいものでした。その結果、ドルベースの終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+2.5%(+300円)と一転して割高となりました。ドル換算チャートでは、25日線、9日線の下に在り、安値を更新し、下落基調が顕著です。銀行間取引はますます疑心暗鬼となりそうですので、金融機関の破綻連鎖の不安は増しています。金融安定化法案は数日後に修正され可決されるでしょうが、より強力な材料が早急に出てこないと、下落基調が続くと考えざるを得ません。とは云え、ここから新規にも売りづらいところです。やはり、突っ込みを買い、早めに利食う戦術が有効と思います。
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