[市況]
11日のNYSEとNASDAQが上昇したことを受けて、日経平均は前日比150円ほど高く寄り付き、前場は買いが一巡すると伸び悩みました。後場寄り付き直後に先物主導で安値更新となりましたが、引けにかけては戻し、結局112円高で引けました。寄付き前の外人は10万株の買い越しで、出来高は25.9億株とSQ日で増加し、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差は日経平均が安値を更新したにも関わらず、マイナス幅は縮小しました。個別銘柄は"売り"が有利な状況ながらボトムアウト感があります。
11日の米国株式市場では、金融株が売られ、NY Dowは朝方に約170ドル下げる場面もあったものの、原油が100ドル台まで下落したことを好感し、自動車株、輸送株、銀行株の一角が上げ、株価指数は上昇に転じ場面もありました。取引終了間際にはバンク・オブ・アメリカによるリーマン買収の思惑などからNY Dowは急速に上げ幅を広げました。
12日の日本市場では、米市場が上昇したことや前日までの3日で500円を超える下げもあり、大手銀行株や商社株に押し目買いが入って持ち直しました。ただ、3連休を控えた週末であるうえに、世界景気の減速懸念や、リーマンの出資交渉の行方を見極めたいとの思惑も根強く、上値を追う動きも限定的でした。
[テクニカル視点]
日経平均は下げ、75日線、25日線、9日線の下に在り、昨日に続き直近安値を更新し、短期的には"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-22.8%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率も-10.5%とマイナス幅が拡大縮小しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は1.5ポイントと変化はありませんが、テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.5ポイント下回わるレベルとなり、売られ過度は拡大しました。
NY Dowは、上昇し、75日線、25日線の下に在りますが、9日線まで上昇し、一目均衡表の雲の中に入りました。Nasdaqはまだ、75日線、9日線、25日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは"黄信号"となり、中期トレンドは、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は米国政府が複数の民間金融機関にリーマンの買収を打診しているとの思惑で上昇しました。金融システム安定化へは進んでいるようですが、世界景気の減速懸念はまだ払拭できていません。さらに、中長期的に見ると、不動産価格は下げ止まったとは言えず、投資銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうですので、6月の高値を抜くにはまだ時間がかかりそうです。予想どうり、米証券会社の四半期決算に注目が集まってきました。ここからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、11日も若干下落しました。(7月安値14.0ドルに対して現在18.6ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-6.0%で、予想PERは14.6となりました。
[今後の見通し]
日本市場はプラスでは終わったものの、米市場高にも関わらず一時安値を更新するなど弱い動きでした。その結果、ドルベースの終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは-2.6%(-330円)と割安度は拡大しました。ドル換算チャートでは、25日線、9日線の下に在り、今日も新安値となりました。まだしばらくは、テクニカル指標がボトム圏を示せば、突っ込みで買い、リバウンドすれば早めに売ると云う投資スタンスが有効と思います。個別銘柄では内需系が有利と思われます。
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