[市況]
17日のNYSEとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日比440円ほど安く寄り付き、前場は120円ほど戻した後、後場の初めにかけて下落し、一時490円安もありましたが、引けにかけて再び戻し、年初来安値を更新して、結局320円安で引けました。寄付き前の外人は620万株の売り越しで、出来高は23.3億株と低水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大し、個別銘柄は"売り"が有利ながら、ボトム圏到達を示しています。
17日の米国株式市場では、政府がAIG株を大量に持つことでの既存の株主価値の希薄化懸念でAIGが急落。今回の救済では金融システムに対する不安は解消せず、金融株を中心に売られました。景気減速から設備投資抑制でハイテク株にも売りが広がり、8月の住宅着工件数が約17年半ぶりの水準まで減少したことで住宅市場の低迷に底入れ感がないと受け止められたことも市場の弱気材料となったようです。
18日の日本市場では、米国の金融システム不安が収まらず米市場が急落したことを受け、大手銀行株や輸出関連株などを中心に売りが出て大きく下げて始まりました。さらに、香港市場が大幅下落したことなどで、後場開始直後は一段安となる場面がありました。その後、SECが空売り規制を適用する18日の米市場を見極めたいとの心理が強まり、買い戻しが入り下げ渋って終わりました。
[テクニカル視点]
日経平均は大きく下げ、75日線、25日線、9日線の下に在り、年初来安値を更新し、短期的には"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-36.9%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率も-15.5%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は1.4ポイントと割安度は縮小しました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.2ポイント下回わるレベルとなり、売られ過度は縮小しました。
NY Dowは、大幅下落し、75日線、25日線、9日線の下に在り、終値で7月安値を更新しました。Nasdaqも、75日線、9日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在り、終値で7月安値を大きく更新しました。米国市場の短期トレンドは引き続き"赤信号"で、中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場ではAIGの支援策は株価の支えにはなりませんでした。米国以外も含めて、次の破綻懸念金融機関はないのかとの疑心暗鬼はまだ残っているようです。さらに、中長期的に見ると、世界景気の減速懸念はますます高まると思われ、加えて、不動産価格は下げ止まったとは言えず、投資銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうですので、6月の高値を抜くにはさらに時間がかかりそうです。米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。市場の関心は10月中旬の欧米主要銀行の決算に移ると思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、17日は大幅下落し年初来安値を更新しました。(7月安値14.0ドルに対して現在14.0ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-6.9%で、予想PERは13.7となりました。
[今後の見通し]
日本市場は米国市場の大幅安や円高に振れた割には下げ渋りました。その結果、ドルベースの終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+1.1%(+120円)と逆に割高となりました。ドル換算チャートでは、25日線、9日線の下に在り、今日も新安値となりました。懸念したように、AIGの救済策だけでは評価されず、有効な対策が見えなくなってきました。リーマンによるヘッジファンドへの融資や貸し株の返済の影響が市場では懸念されており、リーマン破綻連鎖の影響を見極める為にはしばらく時間が必要となったようです。ただ、米市場のVIX指数(恐怖指数)は1月、3月の安値時と同レベルとなり、売られ過ぎを示していますので、テクニカルには目先の反転が近いことを示唆しています。
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