[市況]
28日の、NYDowと、NASDAQが上昇したことを受けて、29日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付きました。前場に20円安まで売られる場面もありましたが、後場に買い戻され、最終的に60円高で終わりました。日経平均は71円高で引け、寄り付き前の外国人は10万株の買い越しで、出来高は26.1億株と増加しました。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、買いが有利な状態ですがピークアウト感は残っています。
28日の米国市場は、午前中に4月の新築住宅販売件数が市場予想を下回ったことで売りに押される場面もありましたが、前日の株安の原因だった米長期金利の急上昇に一服感が広がったことが相場を支えました。金融株や、原油先物相場の上昇でエネルギー関連株も堅調となり、株価指数を押し上げました。
29日の日本市場では、米国市場高や寄り付き前に発表された4月の鉱工業生産指数の上昇を手掛かりに買いが先行しましたが、雇用関連の経済統計の悪化もあり、前場は軟調な展開となる場面もありました。後場は商品相場の上昇基調を手掛かりに鉱業や非鉄株の一角が物色され、引け際に買い戻されて終了しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日線、25日線、9日線の上にありますので、短期トレンドは青信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+19.8%とプラス幅が拡大し、200日線との乖離率は+2.1%とプラス幅が拡大しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスとなりましたので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.3ポイント上にある状態となり、日本市場は割高幅が縮小しました。
NYDowは75日線の上にあり、25日線、9日線を上回りました。200日線は下回っています。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、75日線、一目均衡の雲の上に在り、9日線、25日線、200日線の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、改善傾向にはあるものの、現在は日本市場が3.8ポイント割高となっています。
市場は現在、「GM救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMのタイムリミットが6月1日に迫る中、GMが債務削減に失敗し、週内に対応を協議すると発表しました。法的整理を前提に債権者とぎりぎりの協議がなされているようです。2つめについては、米国の雇用状況は高止まりながら底打ちの兆しが多少出てきました。一方、住宅関連指標は好悪混在していますが、消費者信頼感指数が予想を上回り好材料視されています。3つめについては、金融危機は遠のいたものの、米連邦預金保険公社が経営に問題のある金融機関が2008年末から増加と発表したことと長期金利の上昇が、悪材料となっています。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せておらず、輸出や雇用の減少傾向は世界的に続いています。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、金融機関の不良債権を増加させ、損失拡大懸念をもたらし、企業や個人の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は28日は下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在3.67ドル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、3月決算発表も終盤となり、予想PERは40.6となりました。PBRは1.2となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安もあり、米国市場の下落にも関わらず小幅上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.6.%(240円の割高)となっており、日経平均は、プレミアム幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、+160円~+460円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。短期的にも中期的にも、青信号が点灯しています。
日米とも短期的に青信号が点灯しています。日本市場は中期的にも青信号が点灯しており、5月11日の高値9504円を抜きましたので、日経平均は短期上昇トレンドを確認した形となりました。目先は200日線(9300円)とボリンジャーバンド+2σ(9700円)の間の動きが想定されます。
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