[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場はストレステストの結果や雇用統計の発表が安心感に繋がり上昇しました。今週は、13日に小売売上高、15日に鉱工業生産などの経済指標が相場の影響要因となりそうです。一方、中長期的には、世界同時不況と、不動産価格の下げ傾向は今後も続くと思われます。ただ、ヘッジファンドの売り圧力は、一旦は峠を越えたようです。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は6.8ポイント割高となりました。先週と比べ割高度が0.6ポイント縮小しました。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは予想利益がマイナスとなり計算不能となりました。S&P500のPERが16.4と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ることが割高の原因です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週も金融株中心に、経済指標を評価し上昇しました。今週も堅調な展開が予想されます。
②決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%の減益予想から欠損予想に大きく悪化しています。
③長期金利は上昇傾向で、日米の金利差は1.8-1.9%と拡大ぎみで、為替は98-99円台と円安方向に変化しました。今週も、100-97円台が想定されます。
④今年3月末に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-6.6%となり、米国は-4.0%になりましたので、この面では日本市場にとって2.6ポイント弱気材料となりました。
⑤外人は5月1週は買い越しだったようです。今週も買い越し傾向が続くと思われます。
5つのポイントのうち先週は①③⑤が強気材料でした。今週も①と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、0.9ポイント割安となり、先週比3.4ポイント割安幅が縮小しました。一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は-1.9%となり先週と比較してマイナス幅は5.1ポイント縮小し、総合乖離率は+21.3%となりプラス幅が拡大しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯していますが、青信号寸前となりました。日経平均は25日線、9日線の上に在りますので短期的には"青信号"です。
米国市場ではNY Dowは25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqも一目均衡表の雲と25日線、9日線の上に在りますので、短期的には"青信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の日経平均のボリンジャー・バンドが狭まっていましたので、上下どちらかに動く気配が濃厚でしたが、9100-8700のレンジを上に抜けました。その結果、あと2%の上昇で200日線を抜けるところまで上昇してきました。200日線を上回ると中期トレンドにも青信号点灯します。長期間200線を下回っていましたので、目先は200日線が抵抗線になる可能性も高く、25日線の乖離率が7.2%と過熱感もあり、目先の利食い売り圧力も強くなると想定されますので、今週は200日線(9618円)を抜けるかどうかが注目されます。ただ、年初来高値を更新しましたので、短期的には上昇トレンドが維持される可能性が高いと考えられます。
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