[市況]
11日の、NYDowとNASDAQが下落したことを受けて、12日の日経平均先物は、前日比110円安で寄り付きました。前場に50円安まで戻す場面もありましたが、その後は狭い範囲の値動きとなり、最終的に130円安で引けました。日経平均は153円安で引け、寄り付き前の外国人は1380万株の売り越しで、出来高は25.2億株と減少し、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、買いが有利な状態です。
11日の米国市場では、ストレステストで追加の資本増強が必要ないと判断されたUSバンコープなどが公的資金の返済を目的に増資を発表したことで、株主価値の希薄化も意識され、これまでの上昇の反動から金融株に売りが出ました。また、破産法11条申請の可能性が強まっているGMが10%超の下落率となったことも重しになりました。
12日の日本市場では、米金融株安を嫌気し、このところ上げが目立っていた大手銀行株に売りが膨らみ、円が上昇したことで、輸出関連の主力株にも売りが広がりました。日経平均は3日連続で年初来高値を更新し、節目の9500円に接近したため、短期的な高値警戒感から利益確定の売りも出ましたが、日中の値幅は狭く売り崩す動きとはなりませんでした。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日線、25日線、9日線の上にありますので、短期トレンドは青信号です。一方、日経平均の総合乖離率は+15.6%とプラス幅は減少し、200日線との乖離率は-2.9%とマイナス幅が拡大しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つの要素中、マイナスは1つですので、中期的トレンドには、引き続き黄信号が点っています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.7ポイント下にある状態となり、日本市場の割安幅は若干拡大しました。
NYDowは75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線を下回りました。200日線は下回っています。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号となりました。中期トレンドは引き続き黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、現在は日本市場が6.8ポイントとかなり割高となっています。
市場は現在、「ビッグ3救済策」「実体経済の急速な悪化と効果的な景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、クライスラーは破産法適用の後、再建ということになりました。GMのタイムリミットは5月末に延期されましたが、GMのCEOが破産法を申請する可能性に言及しています。2つめについては、米国の雇用状況に底打ちの兆しが多少出てきました。経済指標はまちまちですが、再び楽観論が大勢となってきたようです。3つめについては、ストレステストの結果発表であく抜け感も出てきたようです。
一方、中長期的に見ると、世界景気の減速は終息の気配を未だ見せておらず、輸出や雇用は減少傾向は続いています。ヘッジファンドを中心とする外国人の売り圧力は、一旦後退してきたものの、2010年まで続くと言われる不動産価格の下落は、金融機関の不良債権を増加させ、損失拡大懸念をもたらし、企業や個人の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は11日、下落しました。(3月安値1.02ドルに対し、現在3.86ドル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、3月決算発表中で、予想PERは計算不能となりました。PBRは1.1となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円高にも関わらず、NYDowに比べ下げは限定的でした。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9.%(160円の割高)となっており、日経平均は、プレミアム幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-100円~+240円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には、青信号が点灯しています。
日経平均の出来高は減少し、米国市場に追随して下げました。結果200線は抜けずに押し戻された形ですが、テクニカルには米国市場が黄信号となった点が気になりますが、日経平均は、上昇トレンドの中にあります。25日平均乖離率が4.6%でサイコロジカルラインも67%と目先の警戒域は後退しています。ここからの上昇には出来高が高水準を保つことが必要ですが、今日の出来高水準が続くと上昇は困難と思われます。上昇トレンドの中の一服が続きそうです。
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