[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は週初にゴールドマン・サックスが米金融機関に対する投資判断を引き上げて、買いが先行したものの後半に景気悪化懸念が出て下落しました。今週は、GMの破産法申請懸念や住宅関連の経済指標が相場の影響要因となりそうです。一方、中長期的には、世界同時不況と、不動産価格の下げによる信用収縮傾向は今後も続くと思われます。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は4.0ポイント割高となりました。先週と比べ割高度が1.6ポイント縮小しました。3月度決算発表が進み、日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは39.2となりました。S&P500のPERが15.7と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ることが割高の原因です。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週はFRBが米経済見通しを引き下げたことなどが嫌気され、週末にかけて軟調に推移しました。
②決算発表が進み、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.1%となっています。
③長期金利は上昇傾向で、日米の金利差は1.8-2.0%と拡大ぎみながら、為替は95-93円台と円高方向に変化しました。今週は、99-93円台が想定されます。
④今年3月末に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-6.6%となり、米国は-4.0%になりましたので、この面では日本市場にとって2.6ポイント弱気材料となりました。
⑤外人は5月2週は売り越しでした。5月3週は小幅に買い越しだった可能性が高く、今週は売り越し傾向が予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③が弱気材料でした。今週も①と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、0.2ポイント割安となり、先週比0.9ポイント割安方向に動きました。一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は-2.2%となり先週と比較してマイナス幅は0.6ポイント縮小し、総合乖離率は+11.4%となりプラス幅が縮小しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線の上に在りますが、9日線は下回っており、短期的には"黄信号"です。
米国市場ではNY Dowは25日線の上に在りますが、9日線は下回っています。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲の上に在りますが、25日線、9日線を下回っていますので、短期的には"黄信号"で中期的にも"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週も日経平均は200日線を抜けずに推移し、中期トレンドの青信号点灯は持ち越されました。長期間200線を下回っていましたので、下降中の200日線が上値抵抗線になってるようです。一方、上昇中の25日線が下値抵抗線となっており、この2本の移動平均線の間の三角持合いとなっています。週初米国市場は休日であり、日経平均はNYDowと比べ目先買われ過ぎですので、今週の週初は軟調な展開が予想されまが、三角持合いの中での値動きが予想されます。その後は2本の移動平均線のどちらかを抜いた方に大きく動く可能性があります。
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