[市況]
26日のNYDowは下落し、NASDAQは上昇したことを受けて、29日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付きました。前場に50円高まで買われる場面もありましたが、後場に急落し、最終的に80円安で終わりました。日経平均は93円安で引け、出来高は22.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は390万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、買いが有利な状態です。
26日の米国市場では、朝方発表の5月の貯蓄率が6.9%と前月から1.3ポイント上昇したことが嫌気されて売りを誘いました。原油が下落したことから、石油株の下落も目立ち、NY Dowは一時70ドル超下落しました。一方6月の消費者態度指数は70.8と市場予想を上回ったが、これを好感した買いは限られたものの、ハイテク株や金融株の一部が買われ、Nasdaqは上昇して終了しました。
29日の日本市場では、5月の鉱工業生産指数は前月比5.9%上昇ながら市場予想の6.9%には届かず、あまり材料にはならなかったようです。みずほFGの増資や中国による国家備蓄向け非鉄金属の買い付けを停止報道もあり、昨日までの上昇で利食い売りが出やすかったようです。環境関連株が急落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日、9日線、25日線の上に在りますので、短期トレンドは青信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+17.5%とプラス幅が縮小し、200日線との乖離率は+8.7%とプラス幅が縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。
テクニカル面の指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.4ポイント下にある状態となり、日本市場は割安幅が拡大しました。
NYDowは75日線の上にあり、一目均衡表では雲の上に在り、200日線、25日線の下に在りますが、9日線も下回りました。NASDAQは、一目均衡の雲の上に在り、200日線、75日線、9日線、25日線の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドも黄信号です。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、改善傾向にはあるものの、現在は日本市場が4.0イント割高となっています。
市場は現在、「GM再生処理」「実体経済の悪化に対する景気対策」「金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめの問題については、GMの米連邦破産法11条の適用申請が決まりましたが、今後のテーマは短期間の再建が可能かどうか、経済指標や雇用にどの程度影響するかに移ると思われます。2つめについては、米国の雇用は失業率が9.4%に増加したものの、減少幅に改善の兆しが出てきました。7月2日の雇用統計が注目されます。一方、住宅関連指標や景気指標は好悪混在していますが、世界銀行の世界の実質GDPが-1.7%から-2.9%への下方修正は一時的に市場にインパクトを与えました。3つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠きましたが、金融機関の不良債権が実質的に減少するがどうかは不透明です。一方、米金融機関の公的資金返済や規制強化の動きは健全化の動きとしては評価できるものの、貸付の抑制につながる懸念から景気にはマイナスとの市場の見方が主流です。米国債の入札は好調で、長期金利が低下しました。
一方、中長期的に見ると、世界景気は減速の勢いは緩和されたものの、改善の気配を未だ見せておらず、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる不動産価格の下落から、金融機関の不良債権増加懸念を払しょく出来ず、個人消費や企業の投資の為の資金調達への悪影響を与え続けます。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は26日、変わらずでした。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在3.03ドル)
一方、日経平均採用銘柄に関しては、3月決算発表も終わり、予想PERは41.3となりました。PBRは1.3となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、プレミアムはプラス幅がかなり大きくなっていましたので、NY Dowの下落率以上に下げました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.0%(280円の割高)となっており、日経平均のプレミアムはプラス幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-+180円~+470円の間で推移しています。ドル換算チャート上の日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、75日線、、9日線の、25日線、一目均衡表の雲の上に在ります。プレミアムはプラス幅はまだ大きく、為替に変化がなければ明日以降も米国市場の動きより下振れする可能性があります。
日本市場の短期トレンドまだ青信号ですので、米国市場次第では、調整局面のから脱却の可能性は残されています。ただ、出来高が低水準である点、9900円近辺で頭を押さえられている状況は解消されたとは言えません。再上昇の為には米国の経済指標などで意外性を含んだ好材料が必要でしょう。
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